2001年04月17日(火) |
書評:サマー・アポカリプス |
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笠井潔第二弾。
結局読んでしまいました。 内容としては非常に充実しており、ちょっとフーコーの振り子を想起させる展開。 ラングドックといえば、ワインで有名な土地柄。 確かにフランス語表記をすれば、Langue d'Oc でオク語という意味だとは知っていたのだけれど、史実をここまで詳しく追っていくと、それなりに違う意味が付与されて面白い。
話の筋は相変わらず、ナディア・モガール嬢が素人探偵を演じつつ、結局全て物知り顔でつんと済ましたカケル・ヤブキといった組み合わせ。抑え目の描写をすれば、それなりに話に奥行きと重厚さがだせるはずのシノプシスであるにもかかわらず(そして恐らくそれを作者は意図しているにもかかわらず)軽さを感じるのはなぜだろう。一読者にとってみれば、決して嫌な軽さではないが、ただ、これが意図された軽さではないと思う分だけ、惜しいと感じてしまうのです。
ヒマラヤ山中での修行?のシーンはちょっと笑えた。「導師(メントール)」はいくらなんでも狙い過ぎでしょう笠井先生。(とはいえ同時にそのあたりの描写の美しさに笑えない自分が居たのだけれど。)
この本もお勧めです。
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