2001年02月16日(金) |
時事批評:検察官情報漏洩問題(続) |
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もはや検察官情報漏洩問題というタイトルでは語れなくなってきているようだ。 まず、福岡地検が、公務員法違反で刑事告発を受理したかと思えば、東京では弁護士11人が福岡地裁職員を告発している。さらに容疑者の夫の判事を忌避する前例のない決定が福岡高裁刑事第2部でなされている。判事は事実上稼動していない特別部異動になり、福岡地検の前次席検事は更迭された。
ここまで拡大すると、法曹間の馴れ合いについて、全国民的な非難が巻き起こっていると表現しても差し支えないと思われる。
(しかし、警察官の情報漏洩問題は、しばしばささやかれているのに、今回は全く聞こえてこない。マスコミは、この点非常に良く警察を利用しているといえそうである。)
ところで「告訴」ではなく「告発」が正しい。よく報道ではこの点を誤解しているが、れっきとした別の概念である。今回の報道を見る限りは正しく用いられているようである。
そもそも告訴は、「犯罪により害を被った者」が行うものであり(刑事訴訟法第230条)、告発は「何人(なんぴと)」でも行い得る(同法第239条)。
ただし、官吏又は公吏すなわち公務員は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない(同条第2項)とされている。
今回はいずれも民間からの告発で、しかも検察庁に直接持ちこんでいる(いわゆる直告)。これも一つの象徴的な意味合いを感じさせる。
この事件を機に、法曹一元というアメリカ型のモデルは遠のいてしまうような気がしてならない。法曹人口の増加に伴い、裁判官、検察官、弁護士の交流の機会が増えれば、より市民の使いやすい司法の実現も早まると思われるのだが。
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