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夕刻。同期の友人Wから切羽詰まったような、それでいてどこか白痴的な笑いを伴った電話があった。「今から泊まりに行くから」というが、どうにも事情が飲み込めない。
しばらくしてチャイムが鳴る。玄関を開けてみると、大量の荷物を抱えたWの姿がそこにあった。
「滝だよ、滝」
なんのことだかさっぱり分からず、とりあえず家に招き入れると、Wは茶を所望し、語り始めた。
どうやらWのアパートの二階の住人が、水抜きをしなかったためか、水道管を破裂させたらしい。Wが帰宅すると、あたり一面が水に覆われていたとのこと。
我々は、顔を見合わせて笑うほかなかった。力なく。
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