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1997年05月22日(木) 99人の有罪の者を逃しても


昨日の起案のショックは十分に抜けないまま、検察講義を受ける。検察の独自捜査のヴィデオを見せてもらうが、昨晩東京地検の検事による捜索が第一勧業銀行に対して行われ、第一勧業銀行に入った友人から「大変だよ、大変なことになってるよ」とのTELを受けたばかりということもあって、何か新鮮な思いでじっくり見入ってしまった。

教官が捜査の基本姿勢について言う言葉が良い。

「99人の有罪の者を逃がしても、1人の無罪の者を犯罪者に仕立て上げてはいけないと言うがこれには間違いがある」と、そこで教室の空気が一瞬張りつめた。消極的実体的真実主義という刑事訴訟法上の建前を実務の側からぶちこわす発言ではないかとみんな恐れているのだ。特に人権保障にはみんな敏感であるから。僕も、少しどきっとした。「正しくは、99人の有罪の者を逃がさずに1人の無罪の者も犯罪者に仕立て上げてはならない。これが正しい。」こういった理想論がバリバリの実務家の口から出るというのを僕は心から嬉しく思った。







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