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1997年05月07日(水) 無期求刑


検察起案の講評。モデルケースではあるが、求刑を書くときに「無期懲役」と書いて少し心が乱れたことを思い出す。普通の人が思うように「無期懲役」の宣告を受ければ死ぬまで刑務所から出て来られないというのは誤りで、たいていの場合は二十年くらいすれば仮出獄という形で刑務所を出ることができる。模範囚ならば、さらにこの期間は短くなる。これが日本の刑事司法なのだ。

しかし、それでも宣告を受けるものにしてみれば少なくとも二十年入っていなければならない訳で、現行法上死刑に次いで重い罪となっている。「悪いことをした者が重罰を受けるのは当たり前だ」という一般の社会でごくまっとうに通用する考えが、実際の現場で自分が求刑する立場になってみると(まだモデルケースではあるが)その重大さにやや困惑を覚え、そうとばかり思えなくなってくる。こんなことで思い悩むようでは、実務修習へ行ってからが思いやられる。やれやれ。







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