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1997年03月28日(金) 芸術の領域論


Mr.Childrenの活動停止前の最終コンサートを見に行ってきた。

別にあまりミーハーなつもりはなくて、純粋に現代に、「生きている言葉」を送り続けているアーチストとして彼らを評価している。彼らの音楽の歌詞はエコーズの影響も多少あるのだろうが、社会派的なものもあり、一方で純粋に人の心を感動させられるだけの美しさと強さを持った歌詞である。(ちなみにエコーズとはこの間芥川賞を取った辻仁成の所属していたバンドのこと) 19世紀の大詩人ポール・ヴェルレーヌの美しい詩に触発されて数々の歌が生まれた時代から離れて、現代は歌こそが詩的なものを表明し大衆に直に詩的感興を与えるほとんど唯一のメディアなのかもしれない。詩も歌が本来の原初的な姿であった。象徴主義が音楽から詩の領域を奪い返そうという運動であったことを考えると、現代では、すでに詩に奪い返す、文学へ奪い返すといったことは放棄されて居るのかもしれない。小説の終わりが叫ばれ初めてすでに久しく、文学誌も次々に廃刊を決定していく現代においては人々にとって文学とはすなわち歌であり、あるいはアニメなどであるのかもしれない。辻仁成がその中で一人逆の道をたどっていることが注目される。アニメに関しても、最近一部で爆発的な流行を見せている「新世紀エヴァンゲリオン」は、その内容がきわめて文学に近接化しており、映画評論や、文学評論の視点から考えても十分語るに値する作品であると思う。ようやくアニメが文学に追いつき始めたのだ、と私などは思うのだがどうであろうか。







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