ちなみに実際の母の正月は『アンナ・カレーニナ』で明けました。急に読みたいと言い出したので、私の暮れはこの発掘作業で終りました。 私の本ですが私は読んでいません(笑)。だって古本屋でこの手の世界名作全集はバカみたいに安いだよ。文庫で買うより安いだよ。この手の本は訳者もいいし、運が良ければ栞もついてるだよ。(この栞は確か桑原武夫だった)。だから見かけたらつい買ってしまいます…。 母はちょうどやっていたロシア展にも行き、『アンナ・カレーニナ』の世界にどっぷり浸かっておりました。どんぴしゃだったらしい。革命前の帝政ロシア。 そんな母は、ある日、姉が真っ赤なドレスを着て「みんなシンデレラが好きに決まってるやんなあ」 と言う夢を見たそうです。 何故だ。 どれだけ母が姉を不憫だと思っているのかは知りませんが、なんだってドレス…。なんだってシンデレラ。 母は、姉がシンデレラになりたいねんなあ。と思ったそうです。
家で本を読むのは母と私ですが、嗜好は微妙に被って微妙に被りません。 そして母は本に執着がないので、本が増えると青筋を立てます。 私は日々、緊張の中、本をこっそり持ち込んでいます。 けれど私が実家に戻った際、蔵書の全てを捨ててこいと厳命したにも関わらず(もちろんそんな命令ブッチしました。でも大分捨てた)、引っ越しで見つけた私の『山田風太郎明治小説全集』は目ざとく見つけ、「これ母さんの」ととっとと箱ごと車の座席に押し込みやがりました。 微妙に腹が立つのは、今現在、私が大学の生協で確か、20%オフで当時、けっこう思い切って買ったそれが今に至るまで見あたらないと言うのもあるでしょうか。 『アンナ・カレーニナ』を買ってきたときも怒ったんだよ。私は覚えてるんだよ。ええ!? と本人に言えても通じない我が家の鉄壁のヒエラルキー。 シンデレラになりたい姉(母の夢)ほどではなくても、誰か私を不憫がってくれ。
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