澤地久枝『心だより』講談社。解説・装丁・安野光雅 読了。
なんだか、久しぶりにこの人の本を読んだ。珍しいことに周辺エッセイ。 読了感としてはなまいきだけれどいまいち。 このひとは自分を語ると良くない。 ドキュメントや、歴史を語るとき、あれだけ冷静で冷徹で、切り込むような眼差しを持つ人が、自分の事を語り始めると、そのナルシズムに対する戸惑いが重い。 口調がよどんで、あまり感心しなかった。 安野光雅はこのひとの本をよく手がけている。 うつくしい表紙。
私は澤地久枝のわりに若い読者だと思う。 昭和ヒトケタの、死にものぐるいで書いている女流作家の、女だてらで、という強い気負いを持ったこのひとの本は、見かけたらよく手に取った。 いい仕事は 『烙印の女たち』 『別れの余韻』 『あなたに似た人』講談社文庫。 『昭和史のおんな』『続・昭和史の女』春秋文庫。 出世作『妻たちの2.26事件』講談社は読む人を選ぶ。 全体的に仕事は男勝り。 『別れの余韻』は、故人の思い出をつづったもの。 このひとは、向田邦子ととてもいい友人で、向田邦子との思いでを書いた文章はみごと。 限界まで近く、親しく、なのに慎みのある友情というのはこういうことかと思う。 昭和ヒトケタの長女に生まれた、口うるささを疎まれていることを自嘲しつつ、そういった躾と教育を得た、女であることの自覚と気負い。 体力勝負のルポルタージュをずっとひとりで書き続けてきた澤地久枝の「ものかき」という自認はとても深くて重い。 今年70歳。
安野光雅の解説は、あまり上手くないな、と読み始めて、木訥とした文章の、心づくしの品の良さにうわっと思った。丁寧に丁寧に、綴った文。
『グリーンマイル』 スティーブン・キング、新潮、訳、白石朗。 1.2巻、読了。 よっしゃ面白い。
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