デート,母,映画『力道山』,NHK「矢沢永吉 THE LIVE HOUSE TOUR 2005 Roots」

 恋人とデート。仕事の話、母の話。中学時代に通っていた塾のホテルオークラでの受験合宿の話から、裏口入学の面白話。

彼は、自身もいろいろあるだろうに、私を気遣って楽しい話をしてくれる。助けてくれる。素敵な人。

母とは全く連絡が取れない、と言ったら「家に行ってみたほうがいいんじゃない?」と彼。

 死んでるかもしれないので、明日にでも行ってみるかと思っていたら、やっと電話がかかってきた。

私は何度も電話してメールもしているのに、「来てないわよ」と母。
メールを受信し終わらないうちにケータイの電源を切っちゃうからだよ!

前に歯科矯正について母に相談したら「もう今更いいんじゃない?」と言われたので、改めてお願いしようと思って何度も連絡していた。
「あら、だってお金溜まったんでしょう?」と母。
「はぁ?誰が?お金なんて、全然ないよ!3月は3日、2月は7日しか仕事なかったんだから。ピーピーですよ。」
「そうなの?」
「だから困り果てて何度も連絡してたの!」
ということで、母が歯科矯正は全額出してくれることになる。ああ良かった。
ありがとう、お母様。

もともと、子供の頃にちゃんと治しておけば良かったのだし、今回縁あって最先端技術の歯科医に割引料金でやってもらえることになったので、母に払ってもらうことにそれ程負い目を感じることはない。

 本日は映画の日。『力道山』を見る。非常に良い映画だった。
こういう映画を日本が作れないのが残念だが。

ソル・ギョング(『オアシス』、『シルミド』)は大好きな役者。うまい。
身体作りから日本語から役者魂が違う、という感じ。

藤竜也もいい。この人は幾つになっても色気があって、素敵。

藤竜也が演じる、力道山の後見人菅野は力道山を助け、一緒に儲けて、おいしい思いもするが散々迷惑をかけられる。
「男にとって一番大切なもの、必要なものはなんだ?」と力道山に問う。
「……信用だよ」と諭す興行師菅野。
お前がそうやって、ニッポン社会に抗うのはわかるけど、そういうもんなんだ、お前のやり方じゃ生きていけないよと言っているみたい。悔しくて辛い場面だ。

そこで私はある人の言葉を思い出す。

「人間は精神である。つまり『誇り』だ。カネじゃない。それを私は証明して生きていたいのだ。そして現在の日本人は、こういう発言を経済的失敗の正当化だとしか思わない。だから私は日本を出て、誇り高い姿勢こそが本質的な経済的成功をも達成するという事実を私自身で示すのである。」

力道山も「信用」よりも「誇り」が大切な側の人間だったのではないか。

そして「誇り」の人、力道山をいじめて、熱狂して、殺してしまったニッポン社会は今も変わりなく「信用第一」。つまらん。
だからその人がニッポンなど捨てて、世界で勝負するというのは当然の選択だと思う。

 夜、気がついたら放映が始まっていて、慌ててNHK「矢沢永吉 THE LIVE HOUSE TOUR 2005 Roots」を見る。
2005年12月12日『Zepp Tokyo』のライヴ映像とツアードキュメント。

ツアー最終日、ホテルのバーで打ち上げ。
寛いだ気分でトイレに立ち、そこでファンに握手だかサインだかを求められた永ちゃん。
「お前、出入り禁止。二度と俺のライヴに来るな」と言ったとか。

長期間のライヴを終えて、張り詰めた神経がやっと緩んだんだ、
「ファンなら察しなくちゃ」。
仰る通りでございます。

ああ、よかった。永ちゃんが力道山のようにトイレで刺し殺されなくて!
2006年04月01日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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