聞きたくも無い言葉しか溢れてないから耳を塞ごうと思った。けれど、直前に腕をもぎ取ってしまったのだから塞ぐ手段が無い。身体へ入り込んだ言葉の群れは、全く馴染まず次に目から外へと溢れ出す。僕はただ、目から溢れ出した言葉の群れをじっと見据える。本当は「きみのように身軽だったら」と厭味とも泣き言とも取れる電話を掛けようかとも思ったけれど腕が無いのだから、諦める他ない。だからだたじっと、溢れ出しては積み重なる言葉の群れを見据えていた。nobel 花村萬月「イグナシオ」��