少しだけ開けた窓から雨のニオイがする。柔らかく何処か懐かしいニオイ。眼を瞑って煙草を燻らす。ゆっくり煙を吐き出す。電話が鳴る。何度か鳴る。耳を衝くその音をあたしは露骨に無視する。例え毎日繰り返されても答えは同じ。そもそも赤い橋なんて渡るべきじゃなかったんだ。