とても単純に「会わなければ良かったのに」 なんて呟いてみる。 それは自分で驚く位、はっきり声になっていて あたしは苦笑いした。
こんな時は、楽しいとか嬉しいとか 何で忘れちゃうんだろう。 でも、何を思い出せばいいんだろう。 記憶に刻まれていたモノは、今ずいぶん曖昧だ。
身体に刻まれたモノの方が、残るんだなぁ。 体温とか、感触とか、匂いとか。 想い出すと痛みをずいぶん伴うけど。
ろくでもないあたしは、波にさらわれない。 ただそこを漂うだけ。
今日も雨。 桜、、、散るじゃない。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
novel 花村満月「夜を撃つ」
|