ありふれた日常

2001年05月01日(火) 存在の消失

「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」
       **村上春樹「ノルウェイの森」**

死は何処にでも存在している。
毎日歩く道にも。
電話の向こうにも。
桜咲き乱れる公園にも。
そして、あたしの中にも。

死は間違いなく生の一部で、普段はあまり出てこなくとも
突然「ふっ」と現れて、その存在を明確にする。

身近な人や、少し離れた人、大切な人、憧れの人。
たくさんの死がいろんな形で、眼前を通り過ぎる。
何日間、あるいは何ヶ月間、気がつけば溢れ、
止め処なく流れ続ける泪。
まるで、自分の一部が欠けてしまったような思い。

しかし、時が過ぎれば、いろんなモノは薄れ、褪せて行く。
自分が普通(と言うのは何が基準かは疑問だが)に
生きて行く上で、支障は無い程に。
そんな自分に少し唖然としながらも、あんな状態が続けば
歩いて行けないであろうとも思う。

形無くなると言う事は、少しずつ過去に溶け
何処か奥の方に、美しく保存される。
きっと、そうゆう事なのだろう。
そして何時かあたしにもやって来る。

全ての死はそれぞれを据えると同時に
あたしをも絶対的力で据えているのだ。



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