おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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2007年05月14日(月) NHK取材班編『責任なき戦場インパール』読了

 1944年、全くの勝算らしき勝算もなく発動され、7万人からの死傷者を出して頓挫したインパール作戦。この責任は第15軍司令牟田口中将一人に押し付けられがちだか只一人の猪武者の無謀な判断だけでこのような愚考はお粉wれるのだろうか……。調査を進めるたびに浮き上がる無責任な後方人事の数々。上層部・参謀部の誰もが「積極的でない」という陸軍軍人にとって最低の無能のレッテルを貼られたくないばかりに玉虫色の返答を続け、なし崩し的に誰の許可なく作戦は発動されてしまう。補給・戦線維持・近代火器の不足、それこそノモンハン事変以来の戦訓は何一つ省みられることなく……。
 このシリーズの特色である国営放送の力をフルに生かした多元的取材は浴しられたっじつを具体的に浮き彫りにしてくれる。しかし昭和19年に補給を牛に頼り、そしてその牛の半分を渡河で溺死させてしまって前線にはカビの生えた米一握りしか届けずに「兵士たちの敢闘精神が足りない」の一言で糊塗してしまうこの国の上層部体制はいったい何なのか。


べっきぃ