おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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| 2007年04月22日(日) |
文春新書『戦争指揮官リンカーン』読了 |
タイトルに惹かれて購入。文章はいわゆる学者ではなくジャーナリストが書いたものなので平易で読みやすい。電車読書でするする完読。 いわゆる「南北戦争」はあらゆる方面で初めての試みが行われた戦争だが、著者はこの中でも「電信」の重要性を重視する。「電信」の発明により、部隊間の連絡のみならず、大統領が各方面の将軍から直接報告・連絡を受け、そうして得た情報を元に大統領自らが命令を下すいわゆる司令部の機能C3&Iが「最高司令官」大統領の下に掌握された最初の戦争と見る。実際リンカーンは各軍司令官・将軍たちにここまで、といいたくなるほどに細かな支持を与え、報告を要求し、自らの手足にならない将軍達を情け容赦なく解雇する(こうやって最後にお眼鏡にかなうのが非情極まりない焦土作戦を命令通り実施できるシャーマンとグラントなわけだが) ここに著者はホワイトハウスからの命令により全世界に作戦を命ずる現在の合衆国軍のあり方の雛形の完成を見る。 南北戦争そのものの通史j対日本ではほとんど発行されていないのでその上でも読んでいい一冊。 ただ問題点は南北戦争全体を捉えた地図が載っていないということ。この本の趣旨からいえば大統領と同じ視点から戦局が見られるように出来る地図は不可欠と思うのだが。
べっきぃ
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