おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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2005年08月25日(木) 台風直撃ですな

 うちの職場は東西新聞文化部並に外部の人間の出入り自由でありまして、今日も今日とて台風をおして女子大生が乱入。平均年齢27歳の美女7名に囲まれて、先日の旅行の話をしつつ夕食会となりました。
 不思議なもんでこういう食べ方したら女の子と同じもの食べて一応は満腹になるのねこの大食いの俺が。相当のカロリー減ですよ。こういうことなら毎日来てくれないだろうか、あっ出費かさむか。今日は給料日だから良かったが毎日こんだけに奢ってると財布もたんな。

追記.
 老兵の間でずい分盛り上がっている『おろしや国酔夢譚』の大黒屋光太夫と、今回『そのとき歴史が〜』の高田屋嘉兵衛について。

 両人物、というか江戸時代鎖国期の日露国交史についてはかなりこってりとわしの愛読書『風雲児達』で語られています。
 実はロシアではピヨートル皇帝(17c末)以来日本と交易することを目指して日本人漂流民をかき集めて日本語学校を作らせているわけです。中には13歳でロシアにたどり着き、薩摩弁丸出しの日露辞典を創ったゴンザなるつわものもいる。その辺の日露交渉史のクライマックスを飾るのが高田屋嘉兵衛が巻き込まれたゴローニン事件です。(ペリーと同時期に再びプチャーチン率いるロシア艦隊が来航しているが、その辺も『風雲児達』幕末編に詳しい)
 わしは『風雲児達』で読んだからこそ映画『おろしや国〜』の駄作ぶりが際立つわけです。例えば場内に失笑をわき起こした緒方拳演じる光太夫と西田敏行のキスシーン。『北差聞略』(光太夫から『解体新書』の桂川捕周が聞き書きしたルポ)にも記録されているエピソードだけど、何とか日本にかえれることが決まった光太夫が、キリスト教徒になって日本に帰れない仲間に別れをつげに言ったはいいが、どうしても口に出せずにロシア式の別れの挨拶で全てを語り、また全てを悟った仲間が泣きながら追いすがる感動的シーンなわけね。で、『風雲児達』ではそれまでにロシア人のキスの風習を散々ギャグにして読者に飲み込ませているからここで感動できるわけ。ところが映画『おろしあ〜』ではまったくそんなとこすっとばしているのであんまりにも唐突すぎてギャグにしかなってない。それをして駄作とよんでいるわけです。(あ、原作の『おろしや』は井上靖の手による間違いない名作です。さらに前に日記も書いたけど吉村昭『大黒屋光太夫』も新資料を駆使した傑作)
 さて高田屋。
 後に高田屋は嘉兵衛死後に「抜け荷」の疑いで取り潰されています。(ロシア側が嘉兵衛の健闘を表して高田屋の船としめせばどういう状況でも襲わない、という信号を作ったのが仇になった)
 まあ人間追い詰められて死に物狂いになれば超人的パワーを発揮できる、という見本のようなものでしょう。その超人的パワーの源を探るため、彼の生い立ちから語られているのが司馬遼の『菜の花の沖』なわけですが。(NHKドラマでは嘉兵衛役は竹中直人)
 なんにせよ、日本が鎖国しているからこそ一度漂流すると日本に帰るのが不可能に近く、それ故に自らの生還という大目的のためには死に物狂いで外国語を取得するようになる、ということでしょうか。本日来た女子大生達の目的も中国留学前の挨拶だったんですが、嘉兵衛や光太夫の100分の1でも真剣に中国語を学んできてもらいたい。


べっきぃ