おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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| 2004年11月04日(木) |
岡崎玲子『9.11ジェネレーション』読了 |
著者は早稲田大学一回生。幼少時をアメリカで過ごし、15歳でアメリカで上位三位に入る進学校チョート高に留学というつわもの。彼女が16歳で遭遇したWTCテロ事件とそれに動揺するアメリカ社会を捉えたのが本作。「ヒロシマの被害はWTCより大きいのか?」(100倍だって)とか「劣化ウラン弾なんてものを使っているのはイラク側だろう」(どうやって原子炉が無い国が核廃棄物入手するんだ)というアメリカ人の核意識の低さや世界認識のあり方にも驚かされるが、何よりも驚愕するのはチョート高の教育水準の高さと生徒達の認識の深さである。 なにしろ授業には教科書なし。教師の与えたテーマに沿ってネット検索し、それにもとづいてディベート。話が盛り上がりすぎたら寮に戻ってからイントラネットでディベート続行というレベル。ようやく近年、「情報科」の授業が設けられ、そこでワードやらエクセルの使い方を教えている日本の高校や大学とはレベルが違う。 そして宿題のレポートやテストで徹底されているのが「名誉」の考え。他人の論文を引用したり、人の話を参考にした場合出典を明らかにしなかった場合は「剽窃」の罪に問われ、いわばカンニングと同罪にされる、知的所有権に関する徹底した指導と自らのオリジナリティに対するプライド意識の育成。 しかも、その教育の大半をアメリカで受けたとは思えないしっかりとした日本語。この娘が小6で英検一級合格した天才児だということをさっぴいてもこの水準の高さはなんだろう、という気になる。 その一方、校門に金属探知機が設置されて銃刀器の持込を規制している高校も多数あるのもアメリカなのだが。
べっきぃ
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