琴 星 商 事 日 乗
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2005年04月23日(土)
  波間に漂う船の如く。 <画像あり>

 こないだ「今週末はのんびり」と書きましたが、今日は再放送の「義経」を見た後、おでかけ。行き先は2月26日にも訪れた倉橋町桂浜(かつらがはま)。此処に「長門の造船歴史館」という小さな博物館があります。

 遣唐使、は御存知でしょうか。遥か昔、その遣唐使達が乗った遣唐使船。それを建造したのが此処・倉橋だそうで。造船歴史館の館内には復元された巨大な遣唐使船があり、それは中庭のような所に展示されている為、目の前の道路を通過する時にも、上の方が見えます。勿論、先日此処を通過した時、私も見て大きさ(というか展示方法というか)に驚きました。や、屋根(いや屋上?)から飛び出てるΣ( ̄Д ̄;)!!って感じで。

 で、先日の新聞で、本日この復元遣唐使船の前の特設ステージで「声明」のコンサートが開催されることを知った次第。しかも無料。広島で声明のコンサートが開催される機会なんて、そうそうないに決まってます(広島、特に旧安芸国に当たる西部は、浄土真宗安芸門徒と呼ばれるほど浄土真宗の勢力が強いのです)。行くでしょう。そりゃあ行くでしょう。だって今、倉橋町って即ち同じ市内だし。住んでる市内で声明やるのに、行かないワケにはいかないでしょう。

 ちなみに、声明については、昨年11月に横浜能楽堂で拝聴した時のレポをどうぞ。

 今回、此処で声明コンサートを開催するに至った経緯は、コンサートの冒頭で説明されました。
 呉市倉橋町本浦にある真言宗御室派の清水山白華寺(はっかじ)。この寺の本尊で県重要文化財に指定されている木造十一面観音立像が11年ぶりに明日から開帳されるのです。それを記念し、その白華寺の御住職と、同じ真言宗御室派の大本山である宮島・大聖院から3名、御室派の僧侶養成学校である仁和密教学院卒業生4名(というか、白華寺御住職も大聖院の方もみんな同校の卒業生だそう)で、空海が乗り、声明をも運んできた遣唐使船の前での声明コンサートとなったのだとか。題して「声明コンサート in 遣唐使船」(配布されたプリントにそう書いてある)。「in」はおかしいでしょう。「in front of」とかそんなんじゃなかったか? 「前で」って。

 遣唐使船が置かれているのは、博物館を入ってすぐ、中庭というか天井がない吹抜というか、そんな所。そこの壁際にステージ(椅子が並んだだけ)がセッティングされ、ステージ前方を囲むように、能楽堂と同じような配置で遣唐使船を避けつつ客席(やっぱり椅子が並んだだけ)がセッティングされてました。定員150人と新聞にあったので、こんな所まで行って定員オーバーで入れなかったら悲しいから、1時間前に行ったのです。まさにセッティング中で、まだ作務衣姿のお坊さん達と博物館のスタッフなどが忙しそうに動き回り、数人の人がそれを待っている感じでした。
 そんなワケで、客席の位置取りは正面最前を確保で(笑)。

遣唐使船後方からステージ方向ステージ方向から後ろ館外より特設ステージ方向
左から遣唐使船後方からステージ方向、ステージ方向から後ろ(海です)、館外(海側)より。
撮影はコンサート終了後なので、撤収中です(笑)。

 説明や館長挨拶に続き、妙鉢と法螺貝の音を響かせながら、坊さんズの入場。ステージの各自の位置に着き、一番右手前の若い僧侶(京都からいらした方だそうです)が「庭讃(ていさん)」。でもやっぱ、11月の高野山声明の会の人の方が上手かったです(笑)。あの声は凄かったもの。まあ、能楽堂での公演でしたから、音響効果の差もありますが(此処はほぼ屋外)。

 続いて、声明の見た目的山場・「散華」。ええ勿論拾いに走りますとも(最前だから目の前まで飛んできたけど)。今回の散華はこないだの横浜のものより二回りほど小さかったですが、紙は分厚く、表は金地に天女が描かれたものや鳳凰が描かれたものなど、少なくとも4種類の絵柄がありました(つまり私の手元には4種類の絵柄があるということです)。

 ソロの声明やメンバー紹介も挟み、続いて今日の第二の山場。般若心経と三味線のコラボレーションという新しい試み(!)。「般若心経は御存知の方も多いでしょうから、御一緒にどうぞ」と言うので、一緒にお唱えしました。通常の1.5倍くらいの速度の般若心経に、着物のおばさま方が奏でる三味線と、お坊さんの一人が叩く太鼓。般若心経2回分の長さで終えましたが、意外と(?)合うモンですね。面白いコラボでした。
 何で三味線とのコラボになったかというと、旧町内(倉橋町)の室尾という地区が、明治期には「三味線村」と呼ばれたほど三味線が盛んなんだそうで。地域密着のイベントならではです。

 半屋外の会場、すぐ後ろは海。声明に混じり、時折はっきりと聞こえる波音。
 こんな環境で声明を聴くことって、そうそうないことだろうなぁと思いました。波の音という自然の音色と人間の声が創り出すメロディとのコラボ。素敵です。波の音に耳を集中させると、声明が波間を漂う船のようでした。規則的なような不規則なような波の音と、西洋音楽とは全く異なる不可思議なリズム(抑揚)の声明。それが混じり合い、溶け合い、流れてゆく。海辺で声明聴けたのは、これは儲けモンですわ。しかも無料って、何て得してるんだろうあたし!!

 ・・・もし可能なら、ステージのバックを海にしてほしかったです。そしたらより、波音と声明が溶け合ったと思うのよね。見栄え的にも素敵だし。

散華!
撮影禁止の文字もなく、携帯カメラのシャッター音も時々聞こえてたので、私も撮影。

終了後、18:25の桂浜 その他和讃など全9曲。1時間強のコンサート。コンサートが終わった頃には、瀬戸内海に日が沈んでいました。でもまだ明るい。ホント、日が延びたなぁ。

 ちなみにですね、こんなところまで免許のない私が一人で来るのはとっても大変です。なので勿論ダンナ出動(笑)。車で連れてってもらい、私が声明聴いてる間は、外で釣りしてました。明日は大潮でしかも朝9時頃満潮で日曜日ってのが大層嬉しいらしいです。朝5時から釣りに行くんだってさ。

 左の写真は、長門の造船歴史館前より撮った桂浜・18:25。空には飛行機雲。


**************
・過去の「今日」。


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