つんつん日記
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何かが足りない。 そんな漠然とした思いが広がっていたのだろう。
その空洞を日本サッカーがひととき満たしてくれたのではないか。 「ワールドカップで一体感を味わうことができた」という若者の言葉は… …正直な感想だろう。
米国で同じような若者の言葉を聞いたことがある。 クリントン前大統領の演説を聴いての感想だった。
中東で…米船がテロに遭遇した事件直後の演説だった。 大統領は悲しみを語り…勇気をたたえ…団結を訴えた。
大統領は行政府の長であるだけではない。 あるときは預言者然として国民の前に現れる。 言葉でもって人を感動させ…アメリカ人としての一体感を強める。
あの国の政治の役割のひとつだ。 折に触れてアメリカ人であることを確認しあう。
民族…人種…言語も多様な米国と違って…日本では… …日本人であることを自明のことのように思う人が多数を占めるかもしれない。
しかし…日本人であるためには何かが足りない。
そんな空洞をかかえこんでいるような気がする。
日本語ブームはその空洞を埋めようとする衝動のひとつではないか。 日本語を母国語としながら…美しい日本語のことをあまりに知らない。
その危機感は正当なものだ。
「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」。
亡き寺山修司のこの歌が多くの人の心をとらえるのは… …一瞬のあかりに浮き上がる祖国喪失の思いとともに… …祖国憧憬(どうけい)もにじんでいるからだろう。
この戦後の「原風景」は、いまなお途切れていない。
熱狂と興奮とが去ったあとの日本の風景はどうか。
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