堕ろしてくれ、と言いたかった。
それが別れる事になっても。
女ってのは好きな人の子を産みたいらしい。
例外もいるかもしれないけど、大概はそうらしい。
男の俺には分からない。
ある人に聞いたら
『女に生まれたからには産みたい。』
と言った。
『へえ・・・・・・・・・・・・。』
『私、産みたい。』
『じゃあ結婚するか。』
涙を流して言う目の前の女性に、俺は精一杯笑って言った。
本当は不安でしょうがなかった。
湧き上がってくる不安に押し潰されそうだった。
まだ23歳。お子様だ。
世間もロクに知らねえガキが、ガキを育てる事が出来るのか!?って。
堕ろしてくれ、って言いたかった。
それが別れる事になっても。
最低だと言われても良かった。自分の保身のため、全てはエゴのため。
罵られてもいい。白い目で見られてもいい。
でも俺は、涙を流す彼女が痛かった。痛々しかった。
『結婚しよう。』
あの時、産んでくれて、結婚して、良かったと思う。
今だからそう思えるのかも知れない。いや、そう思いたいのかも知れない。
でもこの道を歩んで良かったと思う。
今では俺も2児の父親だが、子供っつーのはこんなに可愛いものかと思う。
時々憎たらしくなるけど、それでもやっぱり可愛い。愛しい。
あの時言わなくて正解だったな、と・・・・・・・・・・・・・・・・。
『産んでくれてありがとう。』
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