日々楽しく生きている。

2004年10月09日(土) 匂いと彼

『この仕事・・・・出来ません。俺には無理です。』







まだ俺が学生の時、こう漏らした人がいた。


一回目の施設実習を終えた直後の事だった。








『何で?』


『いや・・・あの便の匂いとかが・・・・耐えられないんです。』


『そうかぁ・・・。』


『相坂さんはどうするんです?やるんですか、この仕事?』


『さあ。やらないんじゃない?俺は社協に行きたいし。』


『便の匂いに耐えられました?』


『いや、無理だった。吐きそうになった。』


『ですよねー。』


『吐きそうになって当たり前だ。人間なら普通だ。誰だってあの匂いが好きな人なんていねえよ。』


『そうですよね・・・そうなんですよねぇ。・・・職員の人たちって好きなのかなぁ?あの匂い。』


『匂いに慣れてるんじゃない?』


『慣れるんですか!?はははは。』


『きっと慣れるんだよ、はははは。』


『ははははは。』


『ははははは。』





『・・・・・・・・・・・・・・なあ、もうちょっと続けてみようよ。』


『・・・・・・・・・・・・・・ええ、そうですね。きっと慣れると信じて。』


『そうだな。きっと俺らも慣れるよ。だから卒業まで一緒にやっていこう。』








































早いものであれから5年が経った。


俺は社協に就職するつもりが、普通の介護職に就き、彼はどうしたのか分からない。


今となっては知る術もない。





























































『この仕事、やるつもりなの?』





俺は実習生に聞く。








『いや・・・分かりません。・・・・便の匂いが耐えられなくて・・・・。みんな言うんですけど、本当に慣れるんですか?』









俺は苦笑いしながら言う。






























『ああ、慣れるよ。』














































今頃どうしてるのかな?あいつ。


時々彼をふと思い出す。


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相坂 [MAIL] [HOMEPAGE]

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