おい、どうしたんだよ?
お前はそんな奴だったのか?
善人ぶりやがって、いったい何様のつもりだ?
そんな事したって誰も誉めてくれないのに。
そんな事したって誰もお前を認めないのに。
知ってるだろ?そんな事。
分かってるだろ?そんな事。
そんな事・・・・・・・分かっているくせに・・・・・・・・
ドウシテダ?
今日は日勤。
俺はチームのサブリーダー。
いわばチームの全責任を負う日。
ミスは許されない。
完璧に¨そつなく¨こなさなければならない。
今日は3人の退院と、一人の入院があるがどうっては事ない。
¨いつも通りにこなして事務的に処理して定時に帰る¨
それだけだ。
そして定時に帰って、妻と息子を迎えに行く。
仕事開始と同時に帰る予定のシミュレーションが俺の脳内で展開される。
当たらず触らず。
俺はサラリーマンだ。
必要以上の事をするつもりはない。そんな義務もない。
だが・・・・・・・・・・俺のシミュレーションは大幅に狂い始める。
時間が掛かりすぎている。
予想していたよりも、大幅に時間が掛かりすぎている。
『・・・これじゃあ息子と妻を迎えに行けない。』
仕事の能率が悪い。
再シミュレーションをし、狂った時間を立て直す。
だが、時すでに遅く。
午前中に終わらせるはずだった業務の半分もこなせないうちに昼休みになった。
『これじゃあダメだ。もっと別の視点から仕事しよう。そうすれば定時に帰れる。』
そして昼休みが終わり、再び業務開始。
思いのほかスムーズに仕事は図どおり、定時で帰れる目途が立ってきた。
『これで息子を迎えに行ける。』
俺は安堵のため息をつき、さっさと後始末を始める。
だが・・・・・・・・
俺は一つミスをした事に気付いた。
浣腸をしなければならない患者に、処置するのを忘れていたのだ!!
奇しくも今は定時の時間だ。
・・・・・・・・・どうする。
無視して帰るか?
残業してやっていくか?
さあ・・・・・・・・・どうする?
『相坂さん、どうしますか?』
後輩がサブリーダーの俺に聞く。
明らかに『定時だから無視して帰ろう』という言葉を待っているかのように。
・・・・・・・・・・俺だって帰りたい・・・・・・・・・・。
だが、今日でkot(−)6日目だ。
もしも
もしも今無視して帰ってイレウスでも発症されようもんなら・・・・・・・。
だけど・・・・・・・・・もしも発症しなかったら?
そうだよ、今までだって発症するのは稀有な話。
もしかしたらどこかで排便してるのかも知れないし。
でも・・・・・・・・・だけど・・・・・・・・・・・・
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120だ。』
『え?』
『GE120の指示をドクターからもらって来い!!』
『は、はい、分かりました!』
『ちくしょう・・・・・・・・・。』
おい、どうしたんだよ?
お前はそんな奴だったのか?
善人ぶりやがって、いったい何様のつもりだ?
そんな事したって誰も誉めてくれないのに。
そんな事したって誰もお前を認めないのに。
知ってるだろ?そんな事。
分かってるだろ?そんな事。
そんな事・・・・・・・分かっているくせに・・・・・・・・
ドウシテダ?
どうして、だと?
俺は介護福祉士だからだ。
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