無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2006年12月03日(日) 人の心が芽生える時/映画『007 カジノ・ロワイヤル』(

 ちょっとまた一日の予定に追われつつある今日この頃。
 『無責任』の更新はどうしてこう時間がかかるかね。
 以前に比べれば文章はかなり短くなってると思うんだが、やっぱ以前ほどには指が効かなくなってるせいか。


 シティボーイズの今年の舞台、『マンドラゴラの降る沼』のDVDを注文する。
ここ数年、若い人たちと組んできたシティボーイズだけれども、申し訳ないけれども、お三方のパワーに拮抗できる方はいらっしゃらなかった。
 それが今回は、中村有志、いとうせいこう、銀粉蝶さんという超ベテラン(失礼)な方々とタッグを組んでいるのだ。北九州芸術劇場まで2回も見に行ってしまったが、これは『真空報告官大運動会』、『ら・ハッスルきのこショー』以来の傑作スケッチの連続なんである。
 まさかこれが最後のともしびだとは思いたくないが、これを越える舞台はそうそう作れないような気がする。私がこのDVDを買わないはずがないのだね(笑)。


 薬を飲み続けているが、抜いた親知らずのあとがぷっくらと腫れている。疼いているわけではないから、大丈夫だとは思うが、何となくな不安は残る。
我慢のできない痛みの中で、歯痛は最たるものだと言うが、精神のバランスは確実に崩れる。
 こういうときはただじっとして寝ていたい気分なのだが、休日はたいていイベントが入っているのである。
自分で入れたイベントだから、文句をどこに持っていきようもないんだけど。


 志免町のシーメイトにて、『万能グローブ ガラパゴスダイナモス 番外公演vol.3 「レモン・サイダー・バカンス〜リコシェ編〜」』(作・演出 川口大樹)を観劇。
 川口さんからSNSでお誘いを受けた上、無料公演だから、内容について文句は言いたくはないのだが、途中までは見ていてかなり疲れた。

 喫茶店「カフェ・リコシェ」は、近くに出来たメイドカフェに客を取られて、閑古鳥が鳴いている。
 女オーナー・まっこは、かなり気が立っているのだが、ウェイターの大林とウェイトレスのアカネは店のことよりも、別の問題で頭を悩ませている。
 大林は、少女マンガ家を夢見ていて、自分の原稿が応募に間に合うかハラハラしているし、アカネは騙されて売りつけられた招き猫の代金50万円をどうしたら取り戻せるかと思案中だ。
 そこに常連客の一志橋が、なにやら運び屋を頼まれたからと、謎のトランクを持ち込んできたところから、ドラマは転がって行く……。

 のだけれど、転がるまでの喫茶店の中でのやりとりが長いのだ。
 後半、マンガ原稿と契約書の取り違えの流れや、招き猫がどんどん増えるギャグなどがなかなかテンポがよかっただけに、過剰なセリフでかえってテンポを落としてしまった前半が惜しい。
 そこんとこを刈り込んで、後半、事態をもうちょっと混乱させたら、かなり出来のいいシチュエーションコメディになるんじゃないかと思うんだけど……。
 少なくとも、箸にも棒にもかからないというほどではない。無料でなくても、1500円なら文句はないところだろう。三谷幸喜レベルで5000円が取れるのだから、もう一息だ。

 見終わったあと、交流会があったので、川口さんに挨拶。
 よければ今度のイッセー尾形(抜き)公演にもどうぞいらっしゃってください、と宣伝をする。

 その間、しげ。が遠巻きにして川口さんに挨拶をしようとしなかったので、どういうわけかをあとで聞いたら、「ネットで今見た芝居を貶そうと思ったから、仲良くするのはやめた」と言ったので、どやしつける。
 貶すことを目的として人と交わらないというのは本末転倒もはなはだしい。

 私がここで芝居や映画を批判しているのは、「批評を行う」ことを前提としているため、結果的に知り合いの舞台であろうが批判する時は批判することになっているだけだ。そのことで疎まれることがあったとしてもそれは仕方のないことと覚悟している。それに、見る人が見ればこれがただの悪口ではなく、視点を明らかにした批評であることは理解できるはずである。

 しげ。がやろうとしていたことは、批評とはほど遠い、ただのこきおろしである。人との交わりを疎かにしている人間に、何の批評ができるものか。

 どやしつけたらどやしつけたで、今度は「じゃあ、これからもう一切映画の感想とかも書かん」と言うのである。それも全くの勘違いだ。私はしげ。に批評を書くなと言っているわけではない。何かを批評するためには、先に人として守らなければならないことがあると言っているのだが、いつまで経ってもこいつにはそういう人を思いやる心が芽生えない。
 私はもう、諦めた方がいいかという気持ちになりつつあるのである。


 父と待ち合わせをして、キャナルシティで映画『OO7 カジノ・ロワイヤル』を見る。


 『007 カジノ・ロワイヤル』(CASINO ROYALE/2006/アメリカ・イギリス・チェコ・ドイツ映画 144分)

 原作:イアン・フレミング 監督:マーティン・キャンベル
 出演:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュディ・デンチ、ジャンカルロ・ジャンニーニ ほか
 字幕翻訳:戸田奈津子
 主題歌:クリス・コーネル 「ユー・ノー・マイ・ネイム」(ユニバーサルミュージック)

【解説】
 > 過去4作にわたってジェームズ・ボンドを演じてきたピアース・ブロスナンに代わり、新たに抜擢されたダニエル・クレイグ扮する6代目ボンドが初登場するシリーズ通算21作目。イアン・フレミングによる原作シリーズの原点『カジノ・ロワイヤル』を、本家シリーズとしては初の映画化。“007”として初めての過酷なミッションに挑む若きジェームズ・ボンドの活躍と“運命の女”との切ない恋の行方を描く。監督は「007/ゴールデンアイ」「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル。
 > 殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得するため、昇格最後の条件である2件の殺害を実行したジェームズ・ボンドは見事ダブル・オーの称号を得る。そして最初の任務は、世界中のテロリストを資金面で支える男、ル・シッフルの資金を絶つこと。まずはマダガスカルで爆弾所有の男を追い、バハマ、マイアミでは武器売人と航空機爆破の阻止に奔走し、やがてル・シッフルに辿り着くボンド。すると、ル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることが明らかとなり、ボンドは更なる陰謀を阻止せんと現地へ向かうのだった。しかし、そんな彼のもとには、財務省からお目付役として美女ヴェスパー・リンドが送り込まれる。最初は彼女に対して懐疑的だったボンドだが、危険を共にする中で次第に心惹かれていく…。


 故アルバート・ブロッコリの名がタイトルの前に流れ、久方ぶりに「原作」としてイアン・フレミングの名前が紹介されると、否が応でも興奮する。
 パロディ版『カジノ・ロワイヤル(1968)』も好きだが、本家本元、スパイ小説の元祖としての原作の映画化を望んでいたOO7ファンは、決して少なくはないはずだ。
 しかし、原作は既に50年も前の作品である。当然、現代を舞台にした映画として製作するには、数々の設定変更が必要となる。パロディ版にも登場していた宿敵・ソ連のスメルシュは本作には登場しない。
 ル・シッフルもフランス人ではなく国籍不明で、彼を背後で操るテロリスト・グループにも具体的な名称ない(どうせアラブ系だろうけど)。
しかし、ではこの映画が原作を無残にずたずたにしてしまっているかというと、決してそうではないのだ。

 ジェームズ・ボンドとル・シッフルとのトランプ勝負の心理戦、ル・シッフルの復讐(拷問の仕方もほぼ原作通りだ!)、そして意外な結末……。
 映画は更にもう一つの結末を加えて、「OO7誕生」を印象付けるが、その展開は、これまでの映画化以上に、原作に忠実と言えるものである。即ち、原作がそうであったように、これはダシール・ハメットに始まるハードボイルド・ミステリーの系譜に連なるスパイ・ミステリーの傑作だということだ。

 ミステリーである以上、具体的な結末を語るわけにはいかないが、本作でのジェームズ・ボンドは、荒唐無稽なスパイ・ヒーローではない。特殊開発された新兵器を使うわけでもないし、宇宙に飛び出してSFまがいの決闘を繰り広げるわけでもないし、女と見ればコマさずにはおれないニヤケた色情狂でもない。
 一個の「人間」なのである。
 原作がそうであったように、スパイ稼業に嫌気がさし、OOナンバーを取得したばかりだと言うのに、ヴェスパーと結婚することを決意する、そんな弱い人間なのである。

 これまでのアクション・ヒーローとしてのOO7シリーズに馴れていた向きには、今回のボンドはいささか情けなく、青臭いようにすら映るかもしれない。
 しかし、これこそが原点のOO7なのだ。

 我々は初めてジェームズ・ボンドがどんな男であったのかを知る。そう、まさに彼は「男」であったのである。

 できれば、ヴェスパーとの濃厚なラブシーンが見たかったところだけれど、それはナシ。R指定にならないように気を使ったのかな(苦笑)。

2002年12月03日(火) 余裕のない日。いつもかも。/DVD『アードマン・コレクション2』
2001年12月03日(月) 平和だねえ。/『蒼い時』『華々しき鼻血』(エドワード・ゴーリー)ほか
2000年12月03日(日) この日記も歴史の証言/映画『エクソシスト2』ほか



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