無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年08月15日(金) 記念日って何の/DVD『レッド・ドラゴン』

 終戦記念日ということで、新聞でもテレビでも式典関係のニュースがテンコ盛りだけれど、さて、こういうの見てる人って、どれくらいいるんだろうか。
 ハッキリ言っちゃえば、もう戦争経験者で当時の記憶を鮮明に持ってる人って70歳以上だから、どうしたって大半の人は親身になって見ることなんてできはしないのである。視聴率が取れないのがわかってるから、制作者側も戦争関係の話については8/15に閉じこめといて、他の日はンなもん、忘れて暮らしましょって構図になってると思うがね。
 何にせよ、上からの押しつけで反戦教育やったって、誰も聞きゃしねえ、ということが最近どんどん鮮明になりつつあるんじゃないかな。


 14日午後4時(日本時間15日午前5時)すぎに、アメリカ北東部と、カナダ南東部にまたがる広範囲で大規模停電が発生。ニューヨークでは都市機能が完全にまひして、停電に関連して1人が死亡。
 相当大きな惨事のようだが、テレビのニュースキャスターは以前のニューヨーク大停電のときに比べて市民は落ち付いているとレポート。いつまで停電が続くか分らず、市民がパニックに陥って乱暴狼藉を働いた前回に比べて、今回は「復旧が着実に進んでいること」「テロの危険性はない」ことを各市長が市民に知らせていたことが効を奏したのだろうとのこと。
 ちゃんと「前回の経験」を生かしているわけで、日本人はこう手際よくはいかないんだろうなあと思うと残念である。これだから「過去に学ばない」とすぐ叩かれちゃうんだけどな。


 こないだから、手をぶら下げてるだけで指先がジンジンするようになっているのだが、キーボードをしばらく叩いていると、痺れるだけでなく関節のあたりが痛くなってくる。関節炎か、それとも糖尿が進行してきているのか。


 夕方から父のマンションで送り火。
 「お母さん、また来いね」と父が声をかける間もなく火が消える。母も慌しいことだ。
 そのあと父としげと食事に出る。「金龍」の横を通りかかったとき、「ここのラーメン屋はどげんや?」と聞かれたので、「とんこつだよ?」と答えたら「とんこつは好かん」と一刀両断。なんども書いてるが博多の人間がみんなとんこつラーメン好きだというのはただの偏見なのでご注意。
 「大河すし」に案内するが、蕨餅まで流れてくる雑多さに、父はいささか閉口したようである。「まあまあかな」とこれも一蹴。実の父とは言え、舌の肥えた人間を案内するのはひと苦労だ。


 DVD『レッド・ドラゴン』。
 原作はレクター博士登場編で、かつて『刑事グラハム 凍りついた欲望(1986)』というタイトルで映画化されている(ビデオは『レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙』という更にトホホな題に変更)。
 原作はかつて小林信彦がクサしてたんで、たいしたことないかと思って読んでないんだが、どうやらレクター博士人気に押されて、原作者が書き直したらしい。今回の映画はその改訂版に基づいたものらしいので、厳密に言えば「二度目の映画化」というのは当たらないのかも知れない。どっちにしろ原作を両方とも読み比べないことにはハッキリしたことは言えんな。
 冒頭の「レクター博士逮捕劇」(これは先の映画版にはない)、実はこれが映画の中で最も面白いシークエンスなのだけれど、残念なことに面白さもつまらなさも同時に凝縮されているんだなあ。
 刑事ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)がなぜハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)を逮捕できたか、ということなんだけれど、本当はこれだけで一本の作品を作らないと、観客はどうしても「薄味」の印象を持ってしまうことになる。でも、「探偵が実は犯人」ってトリックはミステリーではもう腐るほど書かれてきていて、よっぽどの妙手が書かない限り、面白いものにはならない。だからあっさりと終わらせるしかなかったってのはわかるんだけど、その結果として「物足りない」印象に終わっちゃったのはやっぱり失敗だと思う。
 簡単に言えば、自分が犯人だって証拠を残しまくりのレクターが、ただのバカにしか見えないのよ。『羊たちの沈黙』の時にはクラリスという更に大バカなヤツがいたからレクターのバカも目立ちゃしなかったんだが、やっぱりああも簡単に逮捕されちゃねえ。バカがいなけりゃリコウは目立たぬと言うが、シャーロック・ホームズが天才に見えるためにはやはり「ぼくのボズウェル」ことワトソン博士が必要なのである。
 その「犯人がバカ」ってのは「噛みつき魔=トゥース・フェアリー(Tooth Fairy)」フランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)にしても同じなので、幼少期のトラウマが犯罪の遠因になってるとか、サイコ・サスペンスの定番な設定をああも工夫もなく提出されると、見てるこっちは気恥ずかしくすらなってくるのである。だってねえ、ダラハイド、自分の力強さを見せつけるために新聞記者フレディ・ラウンズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)に背中のレッド・ドラゴンの刺青見せるんだよ。アンタこれ、『ねらわれた学園』の峰岸徹の「私は宇宙だ!」と変わらんがな(^_^;)。
 犯罪者ってのが何らかの形で自我肥大を起こしてるってのはわかるけど、それを抑制する知性がなかったら、探偵と犯人の理知の闘いのサスペンスは生まれないんだよね。
 あと、ヒロインのリーバ・マクレーン(エミリー・ワトソン)も、いかにもダラハイドに騙されそうなマヌケっぷりを披露しているのも興醒め。ちったあ疑えよって。

2002年08月15日(木) 母の呼ぶ声/『フルーツバスケット』5〜9巻(高屋奈月)/『神罰』(田中圭一)
2001年08月15日(水) 代打日記
2000年08月15日(火) 盆休みも終わり……なのに毎日暑いな/映画『シャンハイ・ヌーン』ほか



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