無責任賛歌
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| 2002年03月13日(水) |
「かろのうろん」ってわかる?/『博多学』(岩中祥史)ほか……“NEW”! |
ううう、そろそろ、更新爆走せねばなあ、と思いながら昨日の分、むっちゃ時間がかかっちまったい。 これもみんな「日記は長けりゃ長いほどいい」なんて抜かしやがったヤツのせいだ。誰だそれは。私です。すみません。
今日もまた外は雨だし。 こういう日はしげも迎えに来たくはないらしく、機嫌が余りよくない。 仕事帰りに本屋に寄ってもらう。 しげが小野不由美の『屍鬼』を突然読みたくなったとかで、いきなり買わされることに。……いや、買うのはいいんだけどさ、買ったらしげ、本をあっちこっちに放り出すから私が読めないんだってば。 私も一緒に『アニメージュ』『ニュータイプ』を買う。
帰宅して、マンションのエレベーターに乗ろうとしたら、ちょうど乗り会わせた人たちがスゴイ巨漢三人。姿恰好からすると見るからにアチラ方面のヒトたちなのだが、私は余りそういうのを気にしないほうなので、平気で一緒に乗りこむ。 私としげが乗ったとん、ブザーが鳴る。 うわ、このマンションに住んで十年、ブザーが鳴ったのって初めてだぞ。 前に乗ってた三人のうちの一人がポツッと言った。 「……荷物が多いからな」 荷物のせいやないわ〜! たいして持っとらんやんか〜! と、ノドから出かかったが、そこまでの勇気はない。 仕方なくエレベーターから降りて、もう一度乗りなおす。 あとで制限体重を見てみたら、700キロまで耐えられるようになっている。 ……つーことは平均140キロって……いや、しげと私とを合わせてそれくらいだぞ。 じゃあ、あの三人、一人200キロ近くあるんかい(^_^;)。
『NEWTYPE』、フロクになんとDVDが一枚ついてくる。 これは世界初ってことだそうだけど、問題は中身だな。 ……うーん、判断が微妙。 『WX�掘抔�開記念、と言うことで、出渕裕や押井守のインタビューを収録してるのは、私は面白かったけれど、こういうインタビューって、活字記事以上の価値があるかどうかってことになると、余りなかったりするんだよね。 喋った言葉って、舌足らずなことも多いから、やっぱりあとで本人が手を入れたり、注をつけたりして活字にしてもらった方が、意図はよりよく伝わるんである。 まあ、押井守がいかにもふてくされた感じで「ミニパト作ったわけ? 企画が来て、オレのやりたいことやるのに都合がよかったからだよ。あんなSDキャラ、大っ嫌いなんだよ」とかツバ吐くように喋ってる雰囲気は、とても活字じゃ伝わんないだろうけど。 新作ビデオの予告編の類は、今は面白いけれど、時間が経てば価値はなくなる。じゃあ、何がこのDVDの目玉かと言うと、『機動警察パトレイバー』第一期OVA第一話完全収録だったりする。 LDで持ってるって……(-_-;)。
夕方、『続・平成夫婦茶碗』第十話を見る。 優香の演技が意外といいのにビックリ。 これまでの話を丹念に見てたわけじゃなくて、たまたま目にしてただけだったので、浅野温子が幽霊ってことくらいしか分らなかった。 ドラマとしてはたいしたことない。 借金がかさんだ満太郎(東山紀之)に、大手の食品会社から、金満ラーメンをカップラーメン化したい、との申し出がある。契約金は500万円。灯(優香)や子供たちは半信半疑だったが、満太郎は喜んでこの話に飛びつく。 しかし、契約の日、食品会社に行った満太郎は、完成したカップ麺を試食した途端、味が変えられ、金満ラーメンとは似ても似つかないものになっていることを知る。節(浅野温子)や灯、子供たちとこの味を作り出すまでのことを思い出した満太郎は、結局、契約を断る。 ……という結末になるなら、書く必要ないじゃん。 先がミエミエっつーか、余りにケツが青い。 契約前に断るんなら、結局は誰も傷つかないで終わるからねえ。味が変えられてもカネのために契約して、それで新しく来た客が「カップ面の味と違う」とか言い出して更に満太郎が苦しむ、とかいう展開になるってんならまだドラマだけどさ。上滑りっつーか、テキトーなとこで難しい展開になるの避けてんだよ、脚本がねえ。
しげ、夜中にいきなり、「二度と帰ってこんよ」と言って出て行く。 眠かったのでそのまま無視して寝る。 明日も晴れるといいな。
岩中祥史『博多学』(新潮社・1575円)。 『大坂学』『東京学』『名古屋学』と続く「都市学シリーズ」の第6弾。 あえて博多出身者でない人間に、その土地のことを書かせるという企画、なかなか面白い。 ただでさえ唯我独尊が信条みたいな博多人にオクニ自慢をさせると、もう鼻もちならないものになるという判断からかもしれないが、なるほど、筆者は意外と気づいてないかもしれないが、博多人にしてみれば耳にイタイところもあって、だからこそ「客観的」だなあ、と思わせる。 「福岡は、東京など比べものにならないほど歴史の古い都市である。“新参者”の東京に大きな顔をされてたまるか! くらいの気概は、多くの人が持っているに違いない(もっとも、そのわりにはミニ東京化しているきらいはあるのだが)」なんて文章、博多人には書けんもんね。 博多人に書かせちゃうとね、例えば長谷川法世のマンガみたいに「博多」らしさを強調しすぎて、かえって現実離れしたものになっちゃうんだよな(ついでに言っておけば、博多人に「九州男児」って自覚はないから。博多の人間は博多出身ってだけで充分なので、ことさら「九州」は主張しないのよ)。 表紙のうえやまとちのマンガも、博多人が「アポまってきた(うんこしてきた)」とか言ってるとこ描いてるけど、イマドキそんな言葉使ってる博多人はもういないよ。
「福岡」と「博多」が違うってことくらいは、博多人自身、アイデンティティの一端になっているから主張はする。けれど、ロシアがかつて、世界の全ての八間、発明を自国の産物と喧伝していたように、突出したナショナリズムは、「博多にあるものはすべてイチバン!」という妄想を作り上げる。例えば食べ物について、博多人は「全ての食は博多に通ず」って思ってるとこあるしね。筆者は、博多が食事どころであることを認めつつも、忌憚のない意見を書いてくれてるのが嬉しい。 若い博多人(これはまあ、五十歳以下ですかね)は、「博多んラーメンはとんこつやなかと(でないと)」とか言ってるヤツ多いけど、博多ラーメンの代表のように言われている「一風堂」のラーメンが、もともとは博多ラーメンの味ではなく、開発の末にできたものであることや、土産物の定番、明太子のルーツが韓国であることなど、キチンと書いてくれているのだ。 で、殆ど唯一と言ってもいい博多の味「おきゅうと」については「こんなものか」って貶してるのな(^_^;)。 威張っちゃいけない。博多はいろんなとこからの文化の流入で「味」を作り上げていったって過程があるのだ。それに伝統で言えば博多人はラーメンはキライで、うどん(博多弁では「うろん」)の方を好むのが「正しい」んだよ。
全体的に筆者の批評眼は信用できるのだけれど、やはり細かいミスはあちこちにある。例えば、長谷川町子の出身を福岡、と書いてるのは間違い。 あの人は佐賀県多久市の出身。博多に引っ越してきて、そこで「福岡日日新聞(今の西日本新聞)」に『サザエさん』を連載し始めたのだ。だから厳密に言えば、「サザエさん一家」が博多人なのね。 だからあの人たちが東京弁を喋るのは本来おかしいのである。 本当のサザエさんは、こう会話しなきゃならない。
サザエ「カツオ! またアンタは、なして宿題もせんと、あすびに行きようとね!?」 カツオ「ねえちゃん、違うばい。中島ンとこで一緒に宿題ばしようて約束しとったっちゃん」 ワカメ「あ、にいちゃんまた、ウソつきよう! 中島さん、さっきバットとグローブ持って、グラウンドに行きよったとに」 カツオ「な、なんば言いよっとや! ぞうたんのごと!」 サザエ「あんたまたすらごと言うて、姉ちゃんば騙しよったとやね!? 今度という今度はねえちゃんも腹かいたけんね! こっち来んしゃい!」 カツオ「あ! ねえちゃん! あすこに魚ばくわえたドラネコが!」 サザエ「あいた! ほんなこつ! 待たんね! こんドラネコが!」 カツオ「……ふう、往生したばい」
……まあ、これもちょっと誇張してますが(^_^;)。
けど、やっぱり遠慮して筆を押さえてんじゃないかってとこはあるねー。 東公園の亀山上皇像について書いてる人ってなかなか見かけないし、焼き鳥屋が多いことは書いてても、焼肉屋がそれ以上に多いことについては、筆者が気付いてないはずはないと思うのに書いてない。博多の焼肉屋は殆ど韓国系なので、妙に気を遣ったのかな? あと、さりげなく「角打ち」(いわゆる「ぐい呑み」のこと。酒屋の店先で一杯酒を飲ませるのである)について触れてるけど、これ、昔から仲間ウチの儀式みたいな意味があったんだけどな。だから、被差別階級の人たちは仲間じゃないから「角打ち」させてもらえないってことも江戸期にはあったんである。それをあえてやった部落の人が処刑されたという悲しい歴史もある。博多の文化に触れるなら、ホントはこういうことも知ってた方がいい。 ま、「学」と言いつつ、観光案内に毛が生えた程度だから、しょうがないんだけどね。 博多初心者には(上級者まで行かにゃならんのか)ちょうどいい程度のものだけど、何しろ博多も変貌激しい町だから、3年後この本が役に立つかどうか。
2001年03月13日(火) 少女しか愛せない/『NOVEL21 少女の空間』(小林泰三ほか)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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