無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年01月12日(土) 寝(られ)る場所そろそろ作らんとな/『仮面ライダー激闘ファイル』(岩佐陽一)/DVD『本陣殺人事件』ほか

 夜中の2時くらいにいきなりしげに起こされる。
 「よしひと姐様が泊まるんだから、部屋片付けようよ」
 ……そんなん、以前からわかってることだろう。
 だったら、日頃からチビチビと片づけしておいてほしいもんだ。だいたい片付けったって、本を寄せることとゴミまとめることくらいしかしようがない。
 しげが寝室を片付けてる間、ゴミをまとめるが、ムリヤリ起こされたんで気分は最悪。こっちだって、睡眠時間を確保しておかないとからだが持つものではないのに。
 1、2時間、片付けると、もうカラダが持たない。しげが仕事に出かけたので、そのまま寝る。
 
 しげも仕事が終わって1、2時間仮眠。
 なんでそれだけしか眠れないかっていうと、今日も公演のための練習があるからだ。
 しかも、今日は撮影の下見のために志賀島まで行くらしい。
 ……睡眠2時間で運転……。
 なかなかハードな旅になりそうだが、なんでこんなスケジュール立てるかなあ。

 昼間のうちに掃除を頼まれたが、体調優れず、やはり寝たり起きたり。
 夕方になってようやく風呂とトイレを掃除、ゴミをまとめる。
 半端でなくゴミが溜まって、台所から溢れ始めている。
 しげは日頃、全く家事をしない。だから、せめてゴミ出しくらいはしろよ、と言いつけている。なのに、それすらサボリまくっているので、こんなテイタラクになっているのだ。
 しげは「昼間はゴミを出しに行くのを人に見られたくない」なんてほざいていてやがるが、夜は仕事に行ってるんだから、昼に出すしかなかろう。その程度の理屈も理解してないのである。
 第一、なぜゴミを出す姿を見られたくないのだ。
 生活してれば、ゴミが出るのは当たり前じゃないか。それを恥ずかしがるというのは見栄っ張りにもほどがある。
 ともかく、誰か人を泊めるのなら、その準備は日頃からしておくことだ。今後もこんなふうに夜中に人を叩き起こすようなマネをさらすようなら、もう片付けなんか一切手伝わないからな。
 ……というわけにはいかないんだよねえ(-_-;)。
 結局、同じ部屋に住んでるんだから、私だって生活環境はなんとかしなけりゃなんない。なんだかんだ言って、少ない時間を使って、私が片付けることになるのである。で、それを期待してるんだよ、あのバカしげは。凸(`△´+)
 もう、こうなったら本気で家政婦さん雇っちゃおうかなあ。
 もちろん、出費は全部しげ持ちである。反対できる根拠があるなら言ってみろよ、しげ。


 NHK教育『エスパー魔美』第二回「超能力は友情の敵?」。
 『カスミン』との録画の切り替えができないので、こっちの録画は総集編のときにと諦めて、今週からナマで見ることにする。

 魔美の所属するダンス部で、ベストポジションを狙う多恵子が、魔美の親友・幸子に怪我をさせるため、床にビー玉を転がす。
 それに気づいた魔美は、思わず超能力を使ってビー玉をテレポーテーションさせてしまった。幸子は無事だったが、その瞬間を幼なじみの高畑くんに目撃されてしまい……。
 自分こそが「エスパー」だと信じ込んでいて、「エスパー服」まで作り(このへんは原作をいい意味で逸脱しててヨイ)無茶な特訓をしていたのに、真実を教えてくれなかったことで傷ついた高畑くん、勢いで魔美と絶交してしまう。
 魔美の弁解の言葉も高畑くんの耳には届かない。
 結局、魔美は誕生日に貰ったコンパクトを高畑くんに返す。
 そのとき初めて、本当の事を言い出せなかった魔美の優しさに気づいた高畑くんは、コンパクトを改造して魔美の超能力を引き出すための「エスパーガン」として再生させる。

 これは、ギリギリのところで原作がうまくアレンジされたと言えるんじゃないかな。プレゼントの意味が微妙に変わったところが粋だし。
 出演者の演技はともかく、ストーリーはまあまあかな。
 ただ、原作では高畑くんが魔美の超能力に気づくまで結構、話数を引いたと思ったが、2回で早くも気づく展開。
 これはできるだけ単発のエピソードを増やそうってスタッフの判断だろうな。でもこの辺がミニシリーズの宿命というものなんだよねえ。

 もっとも、既に私の関心は井端珠里にしかないので(^^*)、もう、魔美の「てれぽぉぉぉぉぉてぇしょん!」も許せちゃうね(^o^)。
 今話で、井端珠里演ずる相原幸子が、実は高畑くんにラブだったということも判明。もちろん、こんな展開も、原作にはないので、これが果たしてラストに関わってくるのかどうか。でも、こういう設定をキチンと生かせなかったらつまんなくなっちゃいそうだけどなあ。
 次回は例の「ハザマローン」のお話。原作中でも屈指の名編である。これは、できるだけ原作に忠実に、下手なアレンジはしないでほしいもんだけどどうなることやら。 

 
 夜9時過ぎ、しげに連れられてよしひと嬢、ウチに来るが、明日は3時起きで撮影に行くとかで、風呂にはいるやいなや、すぐに寝てしまう。風邪も引かれているということで、ちょっとおからだが心配だ。
 いつものようにビデオやDVDをお見せする時間はないので、せめてものお礼と言うことで、オタアミ公演のビデオ(お客さんとして来てくれたのだ)を差し上げて、更に岡田斗司夫さんの『30独身女、どうよ?!』、『恋愛の取説』をお貸しする。
 これは誓って言うが、よしひと嬢が御年○○歳だからと言って、それに対してのイヤミのつもりは全くない。岡田さんの主張が本当に女性にとっての福音となるのかどうか、ご意見が伺いたいと思ったのだ。
 よしひとさま、もしよろしければ、メールででも掲示板ででも、読んだご感想を聞かせて下さいませませ。お礼はなんかさせていただきます。
 でも、遅読なことでは一部で有名なよしひと嬢のことだから、さて、読み終わられるころには既に○○歳ということに……。
 あ、いやいや、だからイヤミな意図なんて全然ないんですってば(^o^;)。
 
 よしひと嬢に頼まれて、深夜1時過ぎから『ラブサイケデリコライブ』を録画する。
 ……なんかもう、見てても私の世代ではちょっとよくわかんない音楽だなあ。
 雰囲気的には70年代テイストがあるようでいて、歌詞やメロディーは今一つ「臭み」がなくて、どこかあっさりしている印象。いや、ただの根拠のない印象だから、間違ってたらゴメンナサイだけど。
 しかし、カラオケでもよしひと嬢の歌う曲って、やっぱり90年代以降のやつが多いんだよなあ。よしひと嬢とも、結構トシが離れてるんだと、イヤでも実感。
 なんだか、どんどん自分がジジイになってってるようで、正直な話、ツライんだけど、かといって、今更若い人に合わせて新曲覚えていくってのも、いかにも「若作りしてます」って感じがミエミエでみっともないしなあ。
 多分、私が覚えた曲で一番新しいのは、『コメットさん☆』の主題歌『ミラクルパワー』だ。……やっぱアニソンかい(^_^;)。


 岩佐陽一編・著『仮面ライダー激闘ファイル』(双葉社・1890円)。
 一部で(あるいは全部か)「デンセンマン」と揶揄されてる今度のライダー、『龍騎』だけれど、さて、キリよく三部作でウチドメになるかそれとも第二期(あえて「二期」と言おう)ブームを起こすのだろうか。
 「人気」を測るバロメーターの一つに、そのシリーズが「映画化されたかどうか」ってのがある。旧ライダーシリーズは何度となく映画化されたし、『アギト』もテレビシリーズの映画化としては初めてアダルトな視点で作られもした。
 しかし、我々オタク世代が子供のころ狂喜したのは、実に単純明快な劇場版の大量再生怪人軍団対複数ライダーの対決だった。ロケ地はテレビシリーズとたいして変わらないけれど、やはり採石場の崖の上にズラリと何十人も居並ぶ怪人軍団の勇姿にはゾクゾクさせられたものだ。
 そこに着目して、テレビ、劇場の「複数ライダー共闘編」のみをピックアップして特集、ってのはウマイ手ではある。シリーズがここまで広がっちゃうと、仮面ライダーのムックも、一つヒネリを加えないと特色は出ない。未発表の設定資料も多数収録しているってのがまた、この手のムックを今まで集めてきたマニア泣かせなことだ。
 けれど実のところ私は「ウルトラ」世代ではあっても、ど真ん中のライダー世代ではないので(だいたい、『V3』で既に離れてったヤツが多い。一応『ストロンガー』最終回まで見てたのは、私のオタクとしての意地みたいなもんだ)、まさしくライダー世代である岩佐さんの筆致はちょっと感情過多で鼻白む印象がある。
 『ウルトラマンT』について、「本来『ウルトラ』は子ども向けであるべき」なんて書いてるのは、心底ガックリ来る。もともと『ウルトラQ』が子供向けを志向した企画じゃなかったのは周知の事実なのに。
 この「アニメや特撮は子どものもの」発言をする人は、未だにこれが作品評価として有効だと思いこんでいるようだが、実のところ、具体性に欠けた抽象的なモノイイに過ぎない。
 だいたい、何をもって「子供向け」とするのか、岩佐さんはちゃんと考えてモノ言ってるのかね? 愛? 正義? 友情? 夢? そういうテーマは「子供」にだけ限定されるものではない。「子供向け」ってのは、たとえ語彙が少なく理解力に乏しい子供に対してであっても、難しい内容を直観させる技術を指すのだ。それを具体的に指摘した上での批評でないと、簡単に「子供向け」なんてコトバは使えない。明らかに岩佐さんはコトバの使いどころを間違えている。
 ……こんな批評モドキなことばっかり言ってると、いずれファンからも相手にされなくなっちゃうぞ(もっとも芝山努も宮崎駿も同種の発言を行ってるが、あれは実作者としてのポーズが必要なんで、単純比較はできない)。
 岩佐さんの思い入れに対してケチつける気はないけど、でもやっぱりさ、言っちゃなんだけど、ただの顔見せ興行的な脚本で、ドラマ的に出来の悪いものも結構多いんだよ、ライダー共闘編。


 DVD『本陣殺人事件』。
 原作・横溝正史、音楽・大林宣彦、脚本監督・高林陽一、金田一耕助=中尾彬、1975年・ATG作品。
 こう詳しく書いておかないと、『本陣』の映像化は何本もあるので区別がつかない。
 しかし、この一編が数ある横溝正史映画化の中でも白眉であることは間違いない。たとえ予算の関係で時代が原作の昭和14年から現代の昭和50年に移され、金田一耕助のスタイルもお釜帽にヨレヨレの和服ではなく、ヒッピースタイルに変えられていてもである。

 旧家の頭首としての威厳を保とうとする田村高廣、薄幸の美少女を可憐に演じた高沢順子、事件の鍵を握る腺病質の次男・新田章、謎の三本指の男(スチール見たときはこれが金田一かと思った)の常田富士男、忘れちゃいけないもう一人のヒロイン、当時は清純派(^^)の水原ゆう紀(命名はホントに水島慎司だ)、まさに金田一のパトロン及びパートナーに見事ハマッた加賀邦男&東野英心(当時は孝彦)。
 更に、後年の脂ぎった演技とは比較にならない爽やかさを漂わせる若き日の(痩せてる)中尾金田一。
 みな、低予算、寄せ集めのキャスト、マイナス要因だらけの中で、よくぞこれだけの名演を披露してくれたものだと感心するしかない。

 そして音楽。
 琴の音に乗せて、か細い老婆の声が歌う「因果は巡る糸車、無常の風ぞ吹き初める」とまさに横溝正史の世界観を凝縮したようなテーマソングの作詞作曲は、なんと大林宣彦!
 これも断言しちゃうけれど、数ある横溝映画監督の中でその世界観を最もよく理解していたのは、市川崑でも野村芳太郎でも篠田正浩でもなく、大林宣彦だったと思う。……ほかの金田一って、どれ見ても「切なく」ならないのよ。

 もちろん、監督、高林陽一の手腕を称賛しないわけにはいかない。
 葬式で始まり、葬式で終わる。
 その構成にも現れている通り、これは「殺人」の映画ではなく、「死」の意味自体を問う映画なのだ。
 実際、これほど一つ一つの映像に「死」の色が色濃く現れた横溝映画はほかにない。
 日本刀の光も、水車の水飛沫も、屏風の鮮血も、全てが「死」を暗示し、一柳家の人々が常に死にとらわれた歴史を繰り返してきたことが描出される。他の映画が単に事件現場の悲惨さを描くものとしてしか扱っていない密室殺人の現場が、まさしく彼らの「運命」の結末としての鮮血の映像美を作り出しているのだ。
 金田一と言えば石坂浩二や古谷一行だと思ってる人には一度ぜひ見ていただきたい映画なんである。

2001年01月12日(金) 一陽来復



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