無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年11月08日(木) エロに偏見はありません/『伊賀の影丸 邪鬼秘帳の巻(上)』(横山光輝)

オタアミ当日まであと16日! 16日しかないのだ!

 マンガ『フクちゃん』の作者、横山隆一氏死去。
 92歳というのはもちろんすごい高齢なのだけれど、こういう仙人然とした人はそうそう死なないような気がしてたので、なんだ、まだ100歳になってなかったのかって思っちゃうのが不思議である。
 もちろん戦前からずっと活躍してたマンガ家さんで、いくら長く連載を続けたとは言え、『フクちゃん』の連載が終わったのが昭和46年のことだから、若い人にはどうしてもある程度の説明が必要になる。
 しげに「横山隆一さんが死んだよ」と言ったら、案の定、「誰それ?」と言われた。
 「『おんぶおばけ』(「おんぶぅ、おんぶぅ、おんぶぅ、ららら♪」)の作者だよ」と答えると一応納得してもらえたよう。しげはぎりぎりリメイク版のテレビに間にあった世代なのだ。坂本千夏が声をアテたテレビアニメ『フクちゃん』(「ウソウソホント、ホントウソ〜♪」)のことを考えると、一応今の20代後半から上の世代なら、なんとか「横山隆一」の名前に反応してほしいんだけれど。
 私の場合はともかく作品自体に出会う前に、母から「アカチバラチー」とからかわれていたので、その世界観は何となく知ってはいた。
 日本の庶民の生活を描いたマンガといえば誰しも長谷川町子の『サザエさん』を思い浮かべようが、実際に作品に当たってみればわかるが、諷刺性があり、毒の強い『サザエさん』に比べ、横山さんの『フクちゃん』は実におっとりしている。より牧歌的かつ抒情的なイメージを考えれば、日本の生活マンガのスタンダードは、横山マンガの方に求められて然るべきなのではないか。
 実際、『サザエさん』に与えた影響は少なくないものがあろう。

 私の持っている『フクちゃん� 戞聞崔娘厂_菠幻法砲任蓮�解説の小野耕世がある四コマを「忘れられないもの」として紹介している。
 フクちゃんとキヨちゃんが風船の取り合いをして、うっかりして風船が手から離れて飛んで行く。その途端、フクちゃんが言う。「キ、キヨちゃんにあげるよ」空に昇り小さくなった風船を見ながらキヨちゃんがポツリと呟く。
 「ボクのだね」
 小野さんはこれを読んで涙ぐんでしまったと言うが、私も同じだ。長谷川町子にこれは描けない。国民栄誉賞に相応しいのは果たして長谷川町子であったのかどうか。

 横山さんが戦前の『新青年』で活躍したミステリの挿絵画家であったことや、「おとぎプロ」を創始した戦後日本のアニメーション作家の草分けで『おんぶおばけ』や『フクスケ』を制作したことなど、もっと新聞記事は大きく書いておいていい。
 若き日の手塚治虫が、横山さんとこでアニメの技術を習おうとしたことがあったのは有名なエピソード。……そう言えば、『フクちゃん』に出て来たでかっ鼻のアラクマさんは、手塚治虫の漫画に出てくる「力有武」とそっくりである。パクったな、手塚(^_^;)。


 昨日に続けてまた仕事でポカ。
 でもこれも昨日同様、私一人のミスとも言えない。ともかくやたらと仕事の段取りの悪い職場で、しかもミスが起きれば責任のなすくりあいという殺伐としたところなので、まあ、責められりゃスイマセンとあやまっといた方がお互い傷は広がらない。
 でもこういう態度取ってるところが「無責任」に見られるわけなんだよなあ。以前、偶然この日記を上司が見て激怒してたが、図星指されて怒ってんだから果たしてホントに無責任なのはどっちなんだか。
 この日記を「エンピツ」に移転させてしばらく経つけれど、もういい加減で元に戻したいのだ。けど、まだまだもちっとホトボリ冷ましとかないといけない状況が続いているんで、愚痴はこのへんにしとこう。


 しげ、今日は劇団の練習があるから、送りはできても迎えはムリかもよ、と言ってたのだが、夕方6時頃になって、鴉丸嬢をクルマに乗せて迎えに来てくれる。
 「アンタ、今日ビデオの録画とか有る?」
 「……『ナジカ』があるけど11時過ぎだよ」
 「じゃあ、其ノ他くんちに付き合わない?」
 「いいけど、なんで?」
 「其ノ他くん、バイク買ったんだって。それを見に行くの」
 それだけかい。でもまあ、それだけのことでちょっと会おうかってなれるのがトモダチってことなんだろうなあ。
 でも付き合うのはいいのだが、其ノ他くんちは実はすごい山の中にあるのである。街灯もまばら、目標ブツはなし、果たして初心者のしげに辿り付くことができるのかどうか。
 鴉丸嬢がナビをするのだけれど、これがまた凄まじい。
 「そこまっすぐ行ったらあ、左に看板っぽいものがあるからあ、そこの道らしいところを曲がってえ」
 「看板っぽいもの? 道らしいところ?」
 「多分病院か何かの看板なんだけどぉ、ほっそ長いの。で、道があるんだけどぉ、奥の方にあってわかりにくいの」
 なるほど、実際そのあたりに行ってみると、道の左脇が横に広がって広場のようになっていて、その奥に看板と細道が出ている。でも「ぽい」とか「らしい」とか、もちっとわかりやすい説明ができないものか。
 ともかく、なんとか十数分かけて其ノ他くんちに到着。

 其ノ他くんは仕事から帰ったばかり。ひとっ風呂くらい浴びたかろうに、わざわざ庭に連れ出し、バイクの鑑賞会。
 ガタイはでかいが車輪は小さく、実は50CCだとか。本人は免許取りたてて怖くてご近所以外にはまだ乗って行ったことがないそうだ。
 兄ギミの藤田真也くんにも久しぶりに会えるかと思ったのだが、どこぞに出かけて遊び呆けているらしい。いろいろとヒトとしての道を踏み外していることを弟の其ノ他くんから聞く。さすがにここには書けないが、鴉丸嬢曰く、「落ちるんならもっと別の方に落ちればいいのに、あっちに落ちたら面白くない」
 ……いや、弟くんの前でそれを言うのはちょっとキツイんでないの(+_+)。

 ひとしきりバイクとクルマを見せあって、外は寒いので中に移動。
 いや、いつまでも外でダベっていて、しかも芝居の練習まで庭で始めようとしたので、いくらなんでもそりゃ近所迷惑と、其ノ他くんちの部屋を借りることにしたのだ。
 今度の芝居ではダンスのシーンがあるのだが、そこんとこの息がイマイチ合わない。なにしろ、鴉丸嬢、其ノ他くんと見詰め合っただけで吹き出しちゃうのだ。恋人同士だから照れるのはわかるけどさあ、と言ったら、誰とでも見つめ合うのは苦手なんだそうな。でもそれじゃ役者ができないじゃん。
 逆に其ノ他くんは全く無表情で見つめることができる。
 「……どうして笑わないの?」
 「根性」
 まあ、そうだわな。

 ひと通りダンスの型を決めるが、鴉丸嬢が腰を捻って痛がるし、動くたびに「○○○○○○!」と淫らなことを口走るので(^_^;)、適当なところで切り上げる。あとは四方山ばなしに花が咲く。
 其ノ他くん、ウメ味のお茶が好きということで、実際に湯呑の茶に梅干を入れて、爪楊枝で丹念につぶして溶かしていく。……若いのになんだかえらくご隠居風だ(^^)。いや、こういう庶民的なのって好きだけどさ。
 鴉丸嬢も『サイボーグ009』にハマった由。けど、彼女もそうだが其ノ他くんも、旧シリーズはおろか新シリーズを再放送で見たこともない世代。20代前半でももう石森章太郎はダメなんだなあ。
 やっぱりアニメの再放送は始終テレビで5時6時台にやってくれてないと、文化の継承ってのはできないんである。

 8時過ぎ、鴉丸嬢を自宅までお送りする。
 後部席に座ってグデッとしてたら、助手席の鴉丸嬢が珍しくマジメな声で、
 「あ、ちょっと言っとこうと思ったんだけど」と声をかけてくる。
 「……何?」
 「今度、エロマンガでデビューしようと思ってるんだけど」
 「へえ? 持ち込み?」
 「ううん、応募」
 「そりゃいいね。そっちの方がデビュー早いし、実力はつくし」
 「で、話は○○○○○○○○○○○○○○にしようと思うんだけど」
 「いや、それは○○○○○○○○○○○○にした方がいいんじゃない?」
 ……これ以降は、どうせ伏字だらけになるのでやめとこう(^o^)。
 けど鴉丸嬢、若いだけにストーリー作りは多分に荒削りだけど、絵の実力はプロ級なんで、デビューの可能性は充分あると思う。
 「触った時の皮膚感というか、感触が感じられるような絵が描きたい」なんて言ってるのも頼もしい。エロマンガの本質がちゃんとわかってる発言だ。
 『快楽天』あたりを狙ってるそうなんで、もし数年後に「鴉丸誠」という名前を見かけることがあったら、ぜひ買ってあげてください。本人は純でスケベな美人です♪


 帰りが遅くなった上、ぶっくたびれていたので、日記も書けず、『ナジカ電撃作戦』もビデオを仕掛けたまま、そのまま落ちる。
 更新が遅れるとそれだけあとでヒイヒイ言う目にあうのだが、いたし方もない。


 マンガ、横山光輝『伊賀の影丸 邪鬼秘帳の巻(上)』(秋田書店・300円)。
 『伊賀の影丸』も多分全巻は読んでないんだよなあ。
 秋田書店刊行のサンデーコミックスの類は、子供のころたいてい貸し本屋で借りて読んでたから、手元にあるやつはごく少ない。あってもたいてい親に捨てられた。手塚治虫の『W3』や『どろろ』、石森章太郎の『サイボーグ009』、赤塚不二夫の『おそ松くん』、楳図かずおの『猫目小僧』と言った一連の作品も、全て貸し本で読んでたんで、単行本で買い揃え始めたのもずいぶんあと。『おそ松くん』は巻数が多すぎて、未だに買えていない。絶版になってるのも多いし、発行されてても『どろろ』や『009』は差別用語に引っかかる部分は削除訂正がされてるし、今となっては手に入らないものも多い。
 『影丸』も阿魔野邪鬼の話はいくつか読んだ記憶があるんだが、ラスト、結局影丸は邪鬼を倒せたのかどうか。ご承知の方は多かろうが、この「不死身の邪鬼」のもとネタになったのは、山田風太郎の『甲賀忍法帖』に登場する薬師寺天膳である。こいつを倒すのにはもう一つ上を行く一種の超能力と言ってもいいワザが必要だったのだが、影丸にそんな能力はない。結末を知りたいが、どうやら現行の単行本はどれも「不完全版」らしいのである。
 完全版が出るまではと待ち続けて30年、いい加減で「横山光輝全集」が企画されてもいいと思うのだが、作者がイエスと言わないのだろうか。

 今回の話も、影丸最大のライバルたる邪鬼の面目躍如、秋月藩乗っ取りをたくらむ黒木彈正の配下として暗躍しつつ、秘密を知るものとして密かに彈正に雇われた忍者集団土蜘蛛党とも渡り合い、そのウラをかいていく。
 ただ不死身と言うだけではない知者なのだ。そこに幕府隠密の影丸も絡んでくるのだけれど、実質的な主役は影丸ではなく邪鬼。いや、この権謀術数、二転三転するストーリー展開、たとえこれがいくつかの先行作品を参考にしているとしても、40年以上も前のマンガとは信じがたいくらいだ。
 やはり40年前に『伊賀の影丸』は東映で、松方弘樹主演で映画化されているが未見のまま。LD出た時買っときゃよかったかなあ。阿魔野邪鬼は山城新伍が演じてたそうだか、見ないで言うのもなんだがミスキャストだったんじゃないか。ちゃんと不死身にしといたんだろうか。

2000年11月08日(水) チンジャオロースって漢字変換できねー/『家出のすすめ』(寺山修司)



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藤原敬之(ふじわら・けいし)