無責任賛歌
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| 2001年10月12日(金) |
それはそれ!/『ゲッベルスの贈り物』(藤岡真)ほか |
オタアミ当日まであと43日! 43日しかないのだ!
朝方、随分涼しくなっているのだけれど、日中、陽射しが指すとじんわり汗ばむ日が続く。 今日、やっとワイシャツを長袖にしてみたのだけれど、暑い暑い。明日からまた半袖に戻そうと決意。
仕事が忙しいので、無理やり息抜きの時間を作って本を読む。 こういう時ほど本がどんどん読めてしまうのはなぜだろう。時間がゆっくりある時にはたいてい居眠りしちゃうのに。
藤岡真『ゲッベルスの贈り物』(創元推理文庫・672円)。 創元推理文庫が、90年代に入って才能のある新人さんをどんどん発掘してくれてるのはミステリファンとして単純に嬉しく思う。 先日読んだ青井夏海の『虹の事件簿』も面白かったし。 この藤岡真のデビュー作も、1993年に一端発表されてすぐ絶版になったものだとか。こういう「幻の」ってヤツは当然「幻」になるだけの理由があるわけで、傑作か超駄作かそれを確かめてやろうって思うだけでもココロがワクワクしてくる。 著者は博報堂に勤めてて、VOW者でもあるそうで(^o^)、いかにも「怪作」っぽい気配だ。 タイトル見ると、何かスパイものか何かかなんて思っちゃうでしょ?
実際、物語は、ドイツ降伏、ヒトラー自殺直後のUボートの中から始まる。海軍大佐、飛良泉英雄に与えられた最後の任務は、最終兵器、コードネーム「ゲッペルスの贈り物」を日本に届けること……。 でも次の章で、おハナシはいきなり現代日本に飛ぶ。 人気俳優、剣城直樹が、その秘密の恋人、真弓にビルの28階から突き落とされ殺される。 更に次の章、人気爆発中の謎の女性アイドル、「ドミノ」の正体を探るように命令されたプロデューサー、藤岡真のところに真贋いずれとも判別し難い情報が次々にもたらされる。 メディアにビデオテープのみが送りつけられ、一切姿を現さない「ドミノ」とはいったいナニモノなのか?
……どうですか? 三つの、何の関わりもなさそうな出来事が段々一つに収束していく……ミステリーではよく使われる手ですね。既に最初の3章で、トリックは仕掛けられています。 多分、ミステリを読みなれてない人は引っかかっちゃうんじゃないかなあ、と思いますが、先にちょっとご注意申し上げておいた方がいいでしょう。
この作品に散りばめられたトリックは、どれもこれも、「かなり」インチキです。
っつーか、トリックのためのトリックであって、必然性がない。マジメなミステリファンなら絶対怒るだろうなあ。
ミステリの「アンフェア論争」は、クリスティの『アクロイド殺し』以来、様々な作品で論議されてきたことだけど、たいていそこで問題になったのは「叙述のトリック」、つまり犯人ではなく「作者」が読者にトリックをしかけてもいいものかどうか、ということだった。 私は基本的にそれは構わない、と思っている。つまり、作者が読者にトリックを仕掛けなければならない必然性があった場合だ。 そう考えると、『アクロイド』には「アンフェア」な部分などこれっぽっちもない。 横溝正史の『本陣殺人事件』は、叙述のトリックを仕掛けないと、犯人の仕掛けたトリックまで露見してしまう危険性があった。これも「必然性」があったと言えよう。 しかるに、この『ゲッベルス』には、それが全くないのだ。あるのは、作者の「意表をつきたい」願望があるばかり。これじゃとてもミステリとは言えない。これはただの「イタズラ本」だ。 だから、最初の一章で、「これは作者にマトモなミステリを書く気がないな」と気付いてしまえば、後は殆どのトリックが芋づる式に露見するようになっている。
……もう、ある程度ネタバラシしちゃうけどね、いきなり「ゲッベルスの贈り物」なんてもの大仰に持ち出してきて、そしてその正体を明記しない、なんて、これで「謎」を提出した気になってるのがちゃんちゃらオカシイのだ。 そんなもの存在しないに決まってるじゃないか。 そんな最終兵器が実在してるんなら、どうしてドイツは自分たちでそれを使わなかったのだ。 冒頭からトリックにもなってないトリックをカマしてくるあたり、この作者、相当ミステリってものをナメてるのである。っつーか頭がかなり幼稚。 だからさあ、「犯人」をいきなり登場させてたら、そこにトリックがありますよ、と自分で宣言してるようなものじゃないの。ミス・ディレクションでタネのあるほうに注目させてどうすんのよ。 いや、そのへんはともかくさあ、これ、時代設定が1993年ってことになってるけど、この時点では絶対不可能なトリック使ってるのよ。森博嗣の『すべてがFになる』にもそういう欠点があったけど、ハナからミステリ書く気なんてないなら、「これはミステリではありません」って明記しとくべきだと思うがな。 だから、結論として、これはアンフェア以前に「インチキ」な作品なのだ。そのインチキさを楽しもうと思って読めば(つまりはトンデモ本ですわな)、まあそこそこの出来だとは言えようか。
……なのに、存外この作品、「本格ミステリ」として評判がイイらしいんだなあ。どこが? ただのバカミスで、笑い飛ばしながら読んでやりゃいいんじゃないかと思うんだけど。新本格が流行ってからっていうもの、読者のレベルも落ちたのかなあ。
〔付記〕
六年も前の文章であるが、作者の藤岡真氏が、自身のブログでこの記述についての怒りを表明しておられるのを発見した。 それについては、2007年8月9日の日記で「訂正」を記しておいたので、こちらにも転載しておく。
>「坊主憎けりゃ(2007/07/14)
> 曝してやるぜ。 > 九州でオタクアミーゴというイベントを仕切っている藤原敬之という男が、己のHPで書評を書いているのだが、これが惨憺たる代物で、頭と性格の悪さが如実に出ている。
> これは、そいつが書いた、『ゲッベルスの贈り物』の書評だが、後にも先にも、これほど無礼千万なものは見たことがない。 > 千野帽子さんがブログの、5月29日のエントリでも言っているように、素人だからといって何を書いても許されるわけではないのだ。 > 前々から苦々しく思っていたが、いい機会なので貼っておく。
> 馬鹿が書いた文章の見本のようなものだ。」
『ゲッペルスの贈り物』の書評を書いて、ずいぶん時間が経っているのに、またどうして今更、という気もするのだが、タイトルを見て納得した。ああ、藤岡氏は私がまだオタクアミーゴスの関連者だと思っているのだなと。藤岡氏はと学会のメンバーでもあったので、唐沢俊一氏への怒りがこちらにも飛び火した、ということらしい。私が唐沢氏の腰巾着の一人か何かだと思っておられるのだろう。 そこんとこは完全な誤解なので、記しておかなきゃならないだろうけれど、もう何年も前にAIQとは縁が切れている。今頃になっていきなり「袈裟」扱いされても困るのである。第一、AIQにいた頃だって、ただ所属してただけであって「仕切ってた」なんてことは全くない。 私は今も昔も、唐沢俊一氏の「著書」のファンではあるが、それにしたところで別に「唐沢信者」というほどではない。AIQにいた頃だって、いや、その以前から、唐沢氏の著書に間違いが多いことは日記で結構指摘しているのである。 AIQに入ったのだって誘われたからであって、自分から進んでではないのである。というか、よく入れる気になったと今でも思うが、恐らく私の日記をよく読んでいなかったのだろう(苦笑)。
それはそれとして、私の書評に対する藤岡氏の怒りは感情論としては理解できるものである。誰だって、自分が精魂込めて書きあげた作品を頭ごなしにつまらんと言われたら、腹が立つだろう。 かと言って、読者だって、作者に阿って誉めた文章だけを書くしかないなんてリクツがあるわけでもないので、つまらないと感じたものはそう書くしかない。腹を立てるなら立ててください、としか言いようがないのである。
更に言えば、藤岡氏は、千野帽子さんのブログを引用して(ここの部分だろう→「素人はなにを言ってもよくて、作家は素人に反論できないと考えている人がいるようですが、ウェブだろうが商業媒体だろうが、原稿料が発生しようがしまいが、著名人だろうが無名人だろうが、人に見えるところで発言する以上は批判されることは折込み済みのはず。作家に弄られるのが嫌なら感想などネットに公開するな。」)いるが、私は別に自分の文章に対して反論がないなんて考えているわけではない。 逆に、千野さんと全く同じことを、これまで何度も日記に書いてきている(もう一つ、付け加えるなら、作家さんに喧嘩を売るために書いているわけでもない)。
だから、こうして藤岡氏に私の文章を晒されても全然構わないし、それどころかまさしくこんなドシロウトの馬鹿な文章に「馬鹿」とマットウな評価を下してくれたことについて、逆に驚きと言うか、読んでくれていたのかとありがたくさえ思うのだが、私ごときにありがたがられたところで藤岡氏には迷惑なことであろう。 こちらが素直に喜んでいるのを今度は阿ってくるのかとまた誤解されても何なので、このまま怒っておいていただくしかあるまい。 従って、『ゲッベルスの贈り物』についての再反論もするつもりはない。
藤子・F・不二雄氏が、『エスパー魔美』の一エピソードで描いていたと思うが、「作家が作品を描く。批評家がそれを貶す。作家がその批評を見て怒る。それでおしまい」なのである。 (2007年8月10日記之)
仕事から帰ってみると、しげ、ようやく病院に行って、セキドメの薬をもらってきていた。 「注射打ってもらったか?」 と聞くと、 「熱はないから」 と、またウソをついて逃げていた。昨日は「熱があるよう」と泣いていたくせに。 今日になって熱は引いたと言いたいのだろうが、だったら病院だって行かなくていいんじゃないか。ともかくなにをやるにつけても一足も二足も遅いのである。
帰りがけにコンビニに寄って弁当を買ってきてやったのだが、しげもほか弁を買っていた。 マンガを買うときなんかもそうだが、結構お互いに考えがシンクロして、買い物がかち合うことが多いのである。それを回避するためには出来るだけ仲を悪くしてた方がいいのかもしれない。でもそうすると、今度はお互いに何も買わないで、一日ずっと日干しってことにもなっちゃうので、なかなかうまいこといってくれない。 とりあえず、しげの食べ残しを食べる。 かつとじなどの丼もの、胃にもたれるナァ。
ビデオで仕掛けておいた『明智小五郎シリーズ� |懃畸法抔�る。 当然、再放送で、本放送は1989.11.15。もう10年以上前だ(森尾由美が探偵助手をやってるくらいだものなあ)。 明智小五郎は小野寺昭で、これほど知性を感じさせない明智は、『D坂殺人事件』の郷ひろみとタメを張るほど。にやけた好青年の明智なんて毒にも薬にもならんわ。 他のキャストもなべおさみの浪越警部といい、畔柳博士の本郷功次郎といい、気の抜けた芝居しかしていない。いや、何より脚本が何も考えていない。ミステリをやりたいのかサスペンスをやりたいのか、狙いがなにもないのだ。 ……2作で終わったのも当然だよな。
しげが仕事に出かけた後、漫然と金曜ロードショー『マスク オブ ゾロ』を見る。 劇場で見たときは、初代ゾロの妻がどうしてロリータじゃないんだとか、原作との違いに目くじら立てつつも、それなりに楽しんで見てたので、まあ、吹き替え版には特に注目してなかった。 ところがどっこい、なかなか面白いキャスティングしてくれましたねえ。 主役のアレハンドロ/2代目ゾロ(アントニオ・バンデラス)には森田順平、ドン・ディエゴ/初代ゾロ(アンソニー・ホプキンス)には樋浦勉。 いや、主役陣はいいのよ、驚いたのは敵方のドン・ラファエロ・モンテロ(スチュアート・ウィルソン)、これをアテレコしたのが野沢那智! ……おわかりですか? かつて『アランドロンのゾロ』を吹き替えしたのは、もちろん、ドロンのフィックス俳優である野沢さん。つまり本作は、新旧ゾロの対決バージョンになっていたのですよ! いやあ、野沢さんの切れまくった悪役ブリの凄まじいこと。 「ムぅスメを殺すとでも、おもぉったくわァ!」 アンタ、その演技、時代劇だよって、こりゃアチラの時代劇だったか(^^)。 こういうイキなキャスティングがあると、吹き替え版もなかなか捨てたもんじゃないと思えるのですな。
今月からCSキッズステーション『アニメぱらだいす』がリニューアル。パーソナリティーが飯塚真弓から野川さくらに変わった。 ……って、別に声優オッカケなんてやってないんだってば。 『吠えろペン』の島本和彦がゲストに出ていて、なんでもない言葉でも力説すれば名ゼリフになる!」と力説していたのに大笑い。 「それはそれ!」って、大ゴマで言われりゃ確かに納得するものなあ。これが言霊の力ってやつ? 「『ふとんがふっとんだ』ってギャグだって、普通の布団が風で吹っ飛んだと思って描いても面白くない。高級羽毛布団がダイナマイト百本で吹っ飛んだと思って描くとスゴイ迫力が……私は何を言ってるんでしょうね?」 いや、島本さんは何を言っても「許す!」。
同じくキッズステーション『鉄人28号』26話「ロビーの最期」。 う〜ん、ちょっと自信がないが、ドラグネット博士の声、巌金四郎じゃないかなあ。……わかんない人のために言っとくと、黒柳徹子の大センパイでNHKで声優指導をしていた大重鎮、昔の東映動画にはしょっちゅう出ていて、『西遊記』の牛魔王や『わんぱく王子の大蛇退治』の火の神なんかを演じてる。 こういう昔のアニメは資料が散逸してることが多いんで、聞き取りで確認するしかないのだ。 ……『鉄腕アトム』のハム・エッグが江幡高志さんだったって知ってた? 正太郎がドラグネット博士を追いつめる時、「博士はガラス窓は実験の失敗で割れたと仰いましたが、ガラスの破片が部屋の中に落ちているのはどうしてですか?」と問詰めるあたりは、さすがは少年探偵。っつーか、そんなすぐわかるウソつくなよ、博士のクセに頭わりーぞ。
この26話から、あの『彼氏彼女の事情』でも有名な正太郎マーチに歌詞がついたらしい。 でも曲が先にあったせいか、どうにもメロディーにうまく乗っていない。……曲は好きなんだがなあ。歌いにくいよなあ。 『アトム』も歌ってる上高田少年合唱団が合唱してるんだが、サビの部分(「ぼくは正太郎 まけるものか」の部分)がボーイソプラノなのは、さすがショタコンの元祖♪ 今聞いても萌える同人女が出るんじゃないか(^^)。 『独立少年合唱団』(美少年好きはぜひ見たまえ)には、正太郎マーチを歌わせればよかったのだよ。 さあ、サビの部分は裏声で歌へ!
進め 進め 空へ海へ 進め 進め チャンスだぞ 鉄人 ぼくらについてこい 力あわせ ガオーと進め ぼくは正太郎 まけるものか
急げ 急げ SOS 急げ 急げ ピンチだぞ 鉄人 ぼくらがついてるぞ 力あわせ ガオーと進め ぼくは正太郎 まけるものか ぼくらは仲間だ 正太郎進め
2000年10月12日(木) 乳の電話と江戸のエンコーと胃袋女と/『十時半睡事件帖 おんな舟』(白石一郎)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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