終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2006年04月18日(火)

「失帰の鬼」

 『江戸の怪奇譚』という本を読んでいたら、こんな言葉が目にとまった。
 筆者によると、中国の言葉で120歳を超えた老人を指すという。
 うーん、と、思わず唸った。

 まずその字面である。
 「失」。逸するのではなく、持っていたものを失うのである。
 この場合は死ぬ機会、死ぬ道すじ、もしくは死そのものであろう。
 そして失「帰」。死ぬのではなく、帰るのである。
 さらに「鬼」。もはや人ではないわけだ。猫又の人間版というところか。
 まとめていえばこういうことだ。


 来たりしところへ帰るすべを失って、人は人ならぬものとなる。


 なんとも物狂おしいことだ。
 来たりしところ、根の国、常世、奥の国がどんなに恋しくても、
 そこに至る道を失ってしまえば再びは得られまい。
 人であり続けたことで鬼となる不条理と苦しみや、推して知るべし。


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