終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年10月29日(土)



ジュンちゃん、なんだか難しい顔してるねー、どうしたのかなー?

というわけで、百里基地で行われた観閲式に行ってきました。
素晴らしかったのはブルーインパルスであり、
イーグル、ファントムであり、純ちゃんじゃない。別に。




「音速を超えても、視界はそれほど変わりません。
 ただ、機体のあちこちから生まれるひずみは見えます。
 わかりますか、湯気のような揺らぎです。風のひだです」

そう話したファントムの若いパイロットは、薄い色の瞳をしていた。
このひとは、空を長く見すぎたのだろうか、と、私は思った。
風のひだ、空のひずみ、そこでは太陽はどのように見えるだろう。
音速の2倍で飛行する鉄の機体を莢としてゆくものにとっては。


「懐かしくてね。35年前に、俺はこれに乗ってたんだよ。
 ああ、懐かしいね。こんなにきれいに保存されている機体は初めて見た。
 なんだかね、昔の恋人に会ったようだよ。おかしいね」

老いた元パイロットは7500時間を空で過ごした。
その一年にも満たない、物理的には短い時間を、
彼は地上で暮らした生涯の残りのすべての時間よりも愛している。
私は外装だけで飾られていた飛行機の機種を聞き忘れたので、
やはり彼の目の色も薄かったと、それだけを思い出すことにする。


空で死ぬパイロットは多い。
だが彼らにとって、パイロットの鷲頭の記章とは、刻印に等しいのだ。
『バイオリニストからバイオリンを奪うな、王から冠を。
それは金持ちから金を奪うのとは違う』ことなのだ。
彼らはそうした特定の物品をもって、自らを聖別しているのだ。
私は彼らを愛する。その清い自尊の心をこそ。


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