- 2003年04月27日(日) パンダの一生。 1: あー…パンダはクマである。 それを間違えちゃいけません。 いわんとするところは? ―凶暴です。 2: スティーブン・J・グールド、 少し前にお亡くなりになったこの著名な生物学者の著書に 「パンダの親指」がある。 パンダには指が六本ある。 しかし構造をよく調べていくと、 この「六本目」は、もとは指ではなかった。 どんな名作にも負けない、じつにワクワクする書き出しで書物は始まる。 パンダが六本指になった理由を、グールドはこう説明する。 パンダはクマである。したがって親指と残りの四本の対向性が失われている。 対向性とはつまり、向かい合わせてものを「掴める」機能のことだ。 しかし、パンダの主食量のササの最も効率的な食べ方は、 ササを「掴ん」で、葉をしごきおとすことだ。 ところが、短くなり対向性を失った元・親指は、 もうその適応の過程を戻ることはできない。 そこでパンダは―遺伝子は―自然淘汰は―手首の骨の一つを進化させた。 それはもとは小さな骨片だったが、指のように突き出した。 パンダは今はそれを使ってササを掴み、葉をしごき落としている。 スティーブン・J・グールドは言う。 適応は後戻りがきかない。 あるものを使って必要なものをつくりだしていく、と。 3: さてパンダ。 もう一度言う、パンダはクマである。 しかるがゆえに凶暴である。 クマがなぜ凶暴かというと、簡単にいうと社会生活を営まないから。 それではあまりにあまりとおっしゃるなら、うーん。 よく知られていることだが、社会を持たない動物は、社会的抑制を持たない。 つまり人間の語彙に従うなら、慈悲もなく赦しもない。 クマは独居性の動物だ。 同類に会うのは性衝動の高まる交尾期だけで、 そのときは性衝動がすべてに勝る。 だから、彼らは攻撃を抑制することを学ぶ必要がない。 ゆえに彼らはそれらを持たない。 しかもタチ悪いことに、彼らは愛くるしい。 ベアバックかけたくなるほどには愛くるしい。 と、いうわけで。 パンダを見たら逃げることです。 ―あいだにガラス窓がありゃ別だけど。 -
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