- 2003年03月02日(日) 桃の節句。 二女の宿命として、私は自分のお雛様を持っていない。 姉は七段の見事な雛を持っていた。 というわけで、私は子供の頃、毎年の桃の節句に、 ちょっとばかり寂しい思いをしてた。 きれいなものを好きなのは子供の常だが、 人形の顔に手垢がつくと汚れになるというので、触ってはいけなかった。 しかしその滑らかな頬は、触れれば心地いいだろうと思わせた。 ――触らなかったけどさ。 きれいなかんざし、着物。 精悍な右大臣の持ち物には太刀と弓。 嫁入り道具のながもちや箪笥は作りが細かく蒔絵は美しく。 緋色の毛氈は華やかで、ぼんぼりを灯せばなおさら美しく。 これは全部、姉のものなのだ、と、思って。 毎年、少し寂しかった。 それでも、触れられるだけで楽しかったから、 出し入れはいつも喜んで手伝ったものだ。 なんだろうね。 思い出すことではある。 -
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