渡会宗一郎
気が付いたら、渡会の家で……。
おじいさまといろいろお話をしたような気がする。
で、家政婦さんのいなくなった隙に家を出て、
僕のマンションに戻ろうとタクシーに乗って。
でも。
部屋に帰るのが……怖くて。
途中で、降りて。
気が付いたら、森、だった。
熱は40度くらい、あったかもしれない。
このまま座っていたら、朝までには凍死するかと、思って。
そう、しようかと、思って。
気が付いたら、人がいた。
……僕のままで、いい、と、言ってくれた。
手放さない、と。
僕は、うれしかった。
どうしようもなく、うれしかった。
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