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■ ノルウェイ。
いつも落ち着かない気分にさせる奇妙な薬のような村上春樹の文章。だから嫌だと思いつつ、それでもわたしのどこか深いところを刺激して不安にさせることば。 憎らしいくらい、きちんとバランスの取れた文章。
「ノルウェイの森」の上巻だけ読んで数ヶ月放ってあったので、この日曜日に下巻を読む。やはり落ち着かない。でも、読んでいなくても落ち着かないからやっぱり読む。 作品の評価とか、細かい点は抜きにして。ひとりになっていたい。
空港のことを考える。 先週の、彼との奇跡的な二度の再会のこと。トランジットでほんの少しの時間だけ、搭乗ゲートで会えたこと。 そして、いつでもそこにある空気。世界中から持ち込まれた、それぞれの人生とそれぞれの時間のこと。
先週出張から戻り、思わず職場の女の子に、飛行機に乗ると自分の人生をひとりで振り返る、という趣旨のことをぽつりと言ってしまった。彼女は、それに反応する心を持ち合わせていなくて、はぁ?という顔をされてしまった。
それは淋しい人生だ。でも、気づかないこと、感じないことは楽だし、ある意味幸せなんだと思う。いつも、その種の女(ときに男性も)を見るたびに思う。わたしはくたびれる生き方をしている。
わたしの人生ってなんだろうとか、これからどうするとか、愛するひとのこととか、そういうことをわたしはいつでも飛行機に乗るときに考えてきたように思う。 空港で、ひとりで、しかし大勢の見知らぬ人たちと共有している空の旅で。その、時間と大地にとらわれていない空間で。
大陸を移動するその贅沢は、わたしの人生にとっていつでも特別だった。 11歳でアメリカに引っ越したとき。 はじめて自分でスウェーデンに行ったとき。 大学生でボツワナに行ったとき。 エディンバラ大学に留学したとき。 そして、ジンバブエに赴任したとき。
よせばいいのに、百万回目の「ラブ・アクチュアリー」を観る。 ヒースロー空港で実際に撮影されたという、到着ゲートのたくさんの再会シーンに、わたしはいつの間にかまた、涙を流していた。何度でも、飽きることなく涙を流す。
けっこうわたしは、くたびれているんじゃないかと思う。 愛することは、楽じゃない。
これからの人生、いったい何度、空港に立つことだろう。 そして、誰と再会するのだろう。
2006年03月19日(日)
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