# 記。
2004年04月29日(木)
記。

忘れ去られてしまうのではないとか怯えた。
自分のいた場所が消えて、声も届かなくなってしまうのではと怯えた。
いつかのようにまた自分を殺しそうになっては揺らぎ、堪え、楽になろうとまた自分を殺した。
前を見ているのだと自分を騙し、諦念さえも信じず見て見ぬふりをした。
ただ楽になるために自分を騙していた。
自分に向けて語る言葉には、心の真実の声と自分を騙すための偽りの言葉が交錯して、いつでも揺らいでいた。どこかで叫んでいた。殺した声でいつも叫びたがっていた。

思い起こせば。何度も辿り着いていた。
ただ、そこに近づいても見えてはいなかった。
一瞬でも触れていた。なのにすぐに揺らいだ心がそれを手放していた。
本当は何度も何度も触れていたのだ。

自分が自分でいることの大事さに、気付いていなかった。
それがどれほどに重要で意味を持つものであるかに気付いてはいなかった。
自分を殺せば楽になると何故考えたのだろうか。
我がなければ。欲がなければ。求める自分がいなければ何も狂おしくなることはないと。
そう思っていたのだろう。
何も望みはしないのだと何度も繰り返した。
それは真実で、偽りだった。
何も望んではいない。だから、何も要らない。
それは、自分に言い聞かせるための言葉で、殺すための呪詛だった。
何も望みはしない。何も要らない。
自分を呪縛しながらも、その思いは本当で。何も要らないのだと思う心は本当で。
色々なものを望みながらも、何も望まない。
それが私の真実だった。
とうの昔にそれに気付いていたのに、自分の施した呪縛から逃れらないままだったのは、真実を掴みながらもなお、自分を殺さなければ楽にはなれないという思い自体に縛られてしまっていたからだ。
楽になるために必要だったのは、自分で居ることだったのに。

私は、此処に在ればいい。
私が此処にこうして在る限り、かの中に私は在り続けられる。

自分を殺さず、声をも殺さず、届かせたい言葉なら届ける。
言葉が届くことを私は知っている。
届けた言葉が受け取って貰えるということを知っている。
ならば、私に出来るのは、自分の心のままに声を届けることと、
信じることだけ。

小さな言葉が明日への糧になればいい。
言葉を届けることが力になればいい。
力になりたいと思ったのは、本当に、私の心だから。

力になれないのだと、そう打ちのめされたあの日を忘れはしないけれど。
それでも力になりたいと思う自分を、もう殺しはしない。


2003年04月29日(火) ハチクロ
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