オミズの花道
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『 どうしたら未収を食らわずに済むか 』
2005年03月18日(金)


先日の日記で夜の業界のちょい詳しい内情を書いたら、何だかんだとリクエストを戴いた。
飲みに行かれてる方から、もしくは駆け出しの同業者さんから、店を割り出そうと詳しく聞いてくる人やら(笑)、この業界の女性に恋をしている人やら、様々に。

でも皆様に共通で言われてしまった事は、『最近本当の意味で「日記」になってて、聞きたい事が聞きにくかった。』とのコメントでした。
うん、ごめん。書きたくない時期もあるんで。ごめんね。
これから少しずつ書けたらなと思っているので勘弁してください。


さて今回はそのひとつ、未収問題である。

いい加減で適当な性格が売りの水上と言えど、お金のこと(だけ)はキッチリしていて、今までお客様に飲み代を踏み倒された事は一回も無い。
つまり、未収ゼロである。
土が付いた事は一度も無いのだ。

勿論その月の流れ、もしくはその会社の締め日によって多少ずれ込む事はあるが、それでもせいぜい一週間伸びるだけで、立替期間も2〜3日で済む。
そうなると実質、自分のお給料から引かれるなどの作業は無くて、店の閉め日から給料までの10日間の間に、大概の事は片付いてしまう。

自分で言うのも何だが、月の請求が何百万ものこの世界で『未収ゼロ』は奇跡に近いと思う。
ミナミは現金やカードが殆どなので、未収額も『何十万』かで済むのだが、接待の主な北新地では食らう未収の額も半端では無い。
よく『ホステスがン百万を回収できずに飛んだ』そんな話を聞くが、そのン百万の未収金を作るのに2週間もあれば充分な街なのだ。

よくもまあ私のような単細胞が、今まで無傷で渡って来れたものだと思う。
確かにこの仕事は一見華やかで収入も少々は高い。稼ぐ気になればとことん稼げる仕事であろう。
だけどハイリスク・ハイリターン、そう呼ばれるのは、何も色気の問題だけでは無く、この未収金問題によってそう呼ばれるところが大きい。
私の周りには居ないし、都市伝説と同じレベルの聞に過ぎないが、未収を立替出来ずに風俗に職変えする女性も居ると聞く。(本当かどうか解らないが。)

私とていつ未収を食らって借金を背負わねばならないかも知れないから、あまり大きな事は言えないが、同業者から一番多かったこの未収問題の質問を、最初に取り上げてみようと思う。
本当なら未収サバイバー・・・・って言ったらいいの?そういう人の話の方が参考になるんだろうけど。


まず、一番大事なのは荒稼ぎしないこと。
店のシステムに踊らされて、もしくはお客様に持ち上げられて、無理に飲まさない事である。

私のやり方は地道で効率の悪い方法だから、最初は実にならなくて焦燥感に捉われる事もあるが、ハイリスク・ハイリターンの世界において必ず勝つには、これが一番の手段なのである。


具体的に言えば、

1)口説きのお客様は絶対に現金払いにすること。

私のようなイカツイ(お客様弁)ホステスでも(たまには)口説くお客様はおられて、口説きに乗らないと来ないぞとか飛ぶぞとか、そんな脅しをかけられる事もままある。
そういうお客様は、最初から最後まで口説きがかかっている間中、キッチリ現金やカードで『しか』飲まさないようにするのだ。
これならばいつ切っても切られてもなんら不自由は無い。

口説きに乗らなくて『付き合ってくれなきゃもう来ないぞ。』と脅されても『やだ〜そうなんですか〜しょうがないですね〜。』と山口萌ちゃんみたいに鼻から声を抜き、惚けていればそれでいい。後はどうぞ勝手に飛びやがれ、ってなもんですな。

だいたい『落ちなきゃ来ないぞ』なんて恐喝するような奴と本当に付き合ったって、長くは続かないんだから付き合うだけ損だ。
遊び慣れてねぇな。まったく。ぼやきです。ごめんなさい。


2)メイン客の枝とはいえ、むやみにツケにしないこと。

これはメインのお客様との関係を守る為だ。
枝のお客様が未収をしたとしても、メイン客が立て替えてくれる訳でもないし、言っても気まずくなるだけだし、そんな事で今まで積み重ねてきた信頼を崩してはいけない。

私はふらっと枝客が来ても、初回〜三回目は必ず現金で飲んで貰い、その間に会社訪問などをして、その人の会社での仕事ぶりや、扱いなどの社会的背景を探るようにし、請求書で飲める人かどうかを判断するようにしている。


3)請求書のつまらないミスは絶対にしないこと。

実はこのトラブルも多い。
皆様少ない経費を調節して来てくださるのだから、明らかに先方の経理に迷惑をかけるような、不自然な請求書を送ると支払いにストップがかかる事がある。

水商売にありがちな『いかにも架空の伝票』を出すのではなく、ウーロン茶の1本、おつまみに至るまで気を配り、口座であればチェックしなくてはならない。

実は最近の水上、お店に出ても自分は経理じゃないのかと思うほどレジの傍に居る事が多い。
伝票には必ず目を通し、その都度レジのお姉さんに指示を出している。

昼間の会社でもつまらないミスは沢山あるのだから、二重三重にチェックして出来るだけつまらないミスを減らす努力は怠らないようにしなければならないのだ。

大きい会社は大きいだけに融通が効かず、伝票の不備で差し戻しになると翌月締めに繰り越され、お客様にも余計な時間を取らせてしまうし、こちらも「本来ならばしなくてもいい立替」をしなければいけなくなる。
自分が困るから支払いを早くして下さい、はホステスの勝手な言い分で『だったら最初からキチンとした物を送れ』と言われても仕方が無い。

もっと怖いのは、その時にはキチンと払ってもらっても、『行くに相応しくない店』と判断され、企業のブラックリストに乗ってしまう場合がある。
これが一番厄介で、いくらお客様が来たくても『経費が使えなくなるから来れない』という結果になるのだ。

いや〜、正直言うとこれが一番怖くて嫌な問題ですね。
まだ色恋の方が防ぎようがあります。


4)売り上げノルマに振り回されないこと。

これぞホステスのジレンマ。
これから逃れる確実な手段はありません。

だけど、この辺が私の一番いい加減なところなんですがね、イチローだって3〜4割バッターなんですよ。あの偉大な選手でも。
確率とか数字とか成績ってのは、そういうものなんじゃないですか?

そりゃあ今は水上も調子はいいですが、いつかはクタりますって。クタらなきゃ嘘でっせ、奥さん。
でもね、ノルマに振り回されて焦って飲ませて未収倒れなんて、稼ぎたいのか借金したいのか、いったい何をしたいのか解らなくなるでしょう?

自分が借金を抱える理由がノルマ、それっておかしくないですか?
私の場合、そう思ってのんびり構えてるようにしてます。そうすると不思議と回っていくものなんですね。
多分、ギスギス感が消えてお客様の方が私に構いたくなるんでしょう。(男の人って面白いね。)

これに関しては沈む女性を何人も見ていますが、ノルマまであと○万円だからドンペリ開けて貰おう!とか、そういう無理をしちゃってたり、女性同士の競争心を煽られて妙に張り合ったり、そういうののツケが後から回って来たりしてるんですね。
そういう第三者が(店ね)介在した頑張り方って、どうなんでしょうかと思ってしまいます。

私だって数字が足りないときは焦りますが、その時に心がけているのは、この方なら信頼出来る!と思う人に『しか』甘えないようにするんです。
そして調子の良い時にキチンとお返しする。
こういうのは考えると全然儲かりませんが、致し方ないですな。


多分、私は良いタイミングでクラブ復帰したのだと思います。
復帰したのが不景気の初めならば、ボコボコ大きい企業が倒産!の煽りを食らっていたでしょうし、またスナック→ミニクラブ→クラブというルートを辿らねば、今のお金の流れを見極める術も無かったのでしょう。

ただ単に、運が良かっただけです。
それは日々、切実に思います。


今回メールを戴いた中で、印象的なメールを戴きました。それは、
『水上さんは時給が1000円でも、水商売をしますか?』
というものでした。

・・・・その答えは応でもあり、否でもあります。

仕事の内容に関しては、応です。
ただ、常に付きまとうこの金銭的なリスクを考えると否と答えます。


この仕事をしていて一番辛いのは、20歳になったばかりの若い女性が何十万もの未収金を食らい、泣く泣くタダ働きのような状態になる、を目にする時です。

私はたまたま、若いときにリスクを背負わず好条件で働けました。
好景気でしたからね。

だけど20歳そこそこの彼女達が今、不景気なゆえに私と同じような条件を背負わされ、かと言って私のようなババの知恵も無く、良い様に店にも客にも食い物にされる様を見ているのは、本当に辛いのものです。

いくら私が『この仕事も楽しいと感じて欲しい』と思っても、その材料が彼女達には無い。




荒稼ぎせず、マイペースで。
乗せられず、見栄を張らず。

彼女等にそう願うと共に、
日々自分にも言い聞かせている水上です。







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