オミズの花道
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『 ファッションとは呼べない世界の服 』
2004年02月16日(月)
ドレスを縫っている。
オーガンジー素材とベルベットなのだが、この生地を選択する事自体がもう逃避なのかなと思う。原稿だよ原稿。原稿やれよ。
オーガンジーは生地的に伸びないから、紙を切るようにキッチリと裁断できるし、時には縫う過程のアイロンがけも要らないくらい指で折り目が付けられるので、申し分なく縫いやすい。
だがご存知の通り透ける素材なので実質的に2枚縫わねばならない。ましてやその2枚を重ねて縫わなければならないし、下のサテン素材などはバイアスにカットしなければならないので、厄介なことに伸びてしまう。かたや紙のよう、かたや綿のよう、これを調整するのが大変なのだ。
そしてベルベット。こいつがもう難儀で仕方ない。
昔から仕立て屋でもベルベットは別料金を取られる、もしくは仕立てを受けないというくらい厄介な生地だ。ミシンをかけると生地がずれるし、手縫いでさえ技術が必要なものだったりするので、生地を損なう恐れがあり、受注しないお店が多いのだ。生地のとらやでも仕立ては扱っていなかったくらい。
洋服の法則として、綿などの素材は出来上がった商品を購入したほうが早いが、こういう手間のかかる、もしくは生地単価で高いものは自分で作った方が早い。
両方ともロング・長袖のドレスだから2m30cm購入で、オーガンジーがサテンと合わせて4000円のコスト、ベルベットがシルクベルベットで12500円のコスト。
芯地やファスナーを入れてもプラス800円くらいのコストだから、出来上がった服を購入するより確かに安い。
あと、手作りは自分の体型の欠点に合わせて補正できるのも魅力である。
私は胸が妙にでかくて足が短い。これを胸元のカッティングと腰位置の高さで立ち姿を誤魔化す事が少々は出来るのだ。座るとばれるのが悲しかったりするが。
手作りだと何だかホステスとして貧乏臭いよなあ、とか思いつつ趣味と実益を兼ねてチマチマやってしまう。普段では着れない服ばかりで全然実用的じゃ無いのだが。
それでもこの業種でないと着れないような服を作るのは実の所楽しい。
ファッションと呼ぶには恥ずかしすぎるこの業界の洋服。
まるで舞台衣装なのだから、それも致し方ないとは思うのだが。
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