オミズの花道
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『 爺への手紙 』
2003年12月19日(金)
やっと肩の荷が少しだけ降りた気がする。
ここ一ヶ月、ずっと心が痛くて堪らなかった。
いっそのことこの仕事を辞めようかなと思った程だ。
何も嫌なことを言われたとかホテルに連れ込まれそうになったとか、そんな事でこの商売を辞めたいなどと思った訳ではない。そんな事は日常茶飯事で、取るに足らない事だ。
それならば逆に頑張れる。このやろう、と踏ん張れる。シバキ倒すなり牽制するなりして逃げられる。
生来が負けず嫌いなのもあるけれど、この仕事が好きだから頑張れるのもあるのだ。
そんな私が一番へこむのは、可愛がって下さったお客様に不幸が降り掛かった時。
好きだからこそ、受けねばならぬ痛みもある。
とてもずるい考え方だとは思うけれど、お知り合いにならなければ味わう事の無かった痛み、この自分の痛みが苦痛で仕方が無い。
相手の痛みがあるというのに。
客商売で無ければ、と思ってしまう。
いつか落ち着いた時に書ければいいなとは思うが、今は書く気力が無い。
その事を思うと未だに涙に暮れるのだから。
ただ、ありがたいのは、本当にありがたいと思うのは、その痛みを分かち合える相手が居ることだ。
去った場所にさえ、なお。
爺、ありがとう。
ずっと爺に伝えたかったんだけど、言えなかったんだよ。
付き合いの浅い私が先に知ってて、何十年もお付き合いのあった爺が何も知らなかった。
その事がとっても苦しかった。
向こうのご家族とお話させて戴いて、もう爺に言ってもいいだろうっていう時期を、私はずっとずっと待っていたんです。
苦しかったよ。爺にもその方にもたくさん可愛がってもらった私だから。
爺とは良く喧嘩したよね。
その話をあの方にしたり、目の前でじゃれて言い合いしたりすると、あの方はいつも笑っていた。
爺が居たから、あの方も私を可愛がってくれたんだと思う。
今の店にも来てくれていたんだよ。
知っているだろうけれど。
電話では言えなかった。
顔を見て言わないと失礼だからと思ったし、あの方ならそう望むと思うし、あの方は軽く扱っていい人じゃないと思ったから。
ううん、ひょっとしたら私は、目の前で痛みの荷物を爺に預けて、自分が少しだけ楽になりたかったのかも知れない。
子供みたいにわんわん泣いてた私を笑わせようと、クッキー買ってくれたよね。
爺はいつもそう。不器用だから、そんな表現しか出来ない。
本当にありがとね。
そっちの事は任せたから。
どのホステスさんに伝えて、とかどうしたいとかは、全部爺に任せるからね。
私は私でこっちで祈る。また3人できゃいきゃい騒げる日が来るように。
私は大丈夫。
もう大丈夫だからね。
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