オミズの花道
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『 移店におけるホステスの段取り 』〜未収のハナシ〜
2003年10月18日(土)



さて、正しい移店の仕方である。

現金、カードのみのお客様で働いていた頃と違い、私にも請求書で飲むお客様が増えた。
ナンバーワンがチーママともめて辞めたので、ナンバーワンのお客様をそのまま私とサオリが引き継ぐという事もあったからだ。
現金、カードのみのお客様で凌ぐのは移動が楽でありがたいのだが、その分ホステスとしては仕事の幅も売り上げの意味で狭くなる。

中には『経費を落とす為の専門の会社』を設立されていたり、枠内をフルに使う方もおられるから、この方達を抜きにすると私自身の売り上げが伸びない。
所謂サインで飲むと云うのはこの方法で、ホステスとお客様の信頼関係の形が現れる、飲み屋ならではのスタイルと言える。

別に売り上げで入っていないから伸びなくてもいいのだが、生来の負けず嫌いなのと、お客様が『頑張んなさい』などとおっしゃるものだから、売り上げもちょっとだけ頑張ってみようかなと思っちゃったのだ。んで、増えちゃった。いかんな。


さて、これを踏み倒されるのが俗に言う『未収倒れ』で、これで潰れるホステスは星の数ほど居る。名刺を信用して請求書を送っても実際にはそんな会社は存在しなかったとか、常連の連れだからと安心してツケにしたりしてそのまま飛ばれたりとか、のパターンだ。
ある時には店同士で組まれたりしてホステスが憂き目に遭う事があったりする。

この踏み倒し野郎、常連というか確信犯というか、そういうのを専門にやっちゃう輩もいるのだから始末に終えない。そのての人達は手段も良く考えていて、相手も吟味している。
この人達、弱った店やホステスを見つける嗅覚はピカイチなのよ、ハイエナの如く。


私が良く『ホステスがノルマに振り回されてはならない』と辛辣さを込めてここで言うのは、お客様への接客が後回しになるのを嫌うのもあるが、ホステスさん自身に自分の身をこういう輩から守って欲しい、そういう願いもあるからだ。

ノルマに振り回されている『フリ』をしてお客様に泣きつくのも、それぞれのやり方だから別に良いのだが(っていうかそれぐらい逞しい女の子は可愛いっすよ)、本当に振り回されてたりするのが見える、振り回されているのを出してしまうと、そこにつけ込んで来る輩は必ず居る。

この種の輩はやり方も狡猾で、何度か来店し現金で気前良く払ったりしてこちらを信用させ、5〜6度目くらいから請求書で飲ませてくれと持ちかけて来たりする。

自分が苦しいときに舞い込んできた餌を逃したくないから、ホステス側としては断れない。その心理をこういう相手は良く知っている。
店も何のアテにもならないし助けてなんてくれない。そりゃ店側からすると、ホステスの口座にしたほうが確実に収入になるのだから、ノータッチどころではなく、あてがおうとまでしてくる。
いやはや、どこの世界も金が絡むと弱肉強食もいいところだね。


口座ホステスともなるとこの辺りの見極めが大事になって来る。
人や店の本性を見抜く能力云々ではなく、自分が自分のペースで、物事の見極めが出来るような地盤を、日頃から作っておくことが大切なのだ。

お客様の数を揃えているかいないかが、この分かれ道の大きな要素にはなるだろう。
『この客に請求書の話を断ったとしても売り上げには響かない』、『店にもデカイ態度は許さない』、そういうホステスなら罠に嵌る事はまずないと思われる。
ま、そのての輩は嗅覚でこういうホステスを避けたりするのだが(苦笑)。

思うに、この仕事に見栄を張らねばならない部分があるとしたら、こここそだろう。
チーママクラスになって収入が上がっても、やらねばならない事や吐き出さねばならないお金が増えて生活は苦しいし、ある程度のノルマをかけられたりして精神的にも追い詰められたりするのだが(大体店の総売りの20〜30%を担わされる)、それでも、決して『溺れる者』になってはいけないのだ。


私は・・・・と言えば、今までは幸運もあったし、この仕事一本で無いからという余裕もあったので、怪しげなオヤジにはお陰様で引っかからずに済んだ。

幸運とは・・・・老舗の店には老舗が築いてきたものがあって、それに女の子が守られる時があるということだ。古い店同士には妙な情報網があって、怪しげな客を判別しやすかったりする。

個人的な余裕と言うか、例を挙げると、たまに一見が来た時に必ず席に付かされていた私だが、気に入られて次回同伴となると、エロ客はそれを餌(のつもりらしい)に口説いてきたり口座話を持ちかけて来たりするのだが、罰金喰らうなら喰らっておけという性分なので、突っぱねる事が出来たというだけだ。
ふざけんな、オヤジ、ともろに口に出した事もある。(良い子は真似しないように)

売り上げで入店してないから楽と言えば楽なのもあるだろう。が、これもただ単にラッキーだったに過ぎず、実力でないのは自分でも良く解っているのだ。
実力が無いからこそ、余裕を持って事に当たらねば足元を掬われる。
私が常に昼間の仕事と夜の仕事を兼業する、夜一本に絞らず生きて行くのは、昼間の価値観を捨てたくないからだけれども、ここにも理由があったりする。

余談だが、個人的にお薦めのコースは、昼間OLをしながら夜に週に2〜3回働くという方法が一番良いように思う。
リスクが少なく、夜の世界の美味しい部分も得られて、お金が残りやすい。



さて、それでも口座を引き受けなければならなくなった時にはどうするか。

私のやり方としては、店口座からのお客様は何も問題は無いのだが、御新規の方の場合、現金で2〜3回訪れて戴いた段階で会社訪問などを行うようにしている。

会社訪問にはこちらを切らせないとか情で繋ぐ意味合いもあるし、ファミリー企業なら奥様のお顔を拝見して奥様公認のもと飲んでいただけるようにする意味もあるのだが、未収倒れから自分を守るという意味でも重要な位置にある行事だと私は思っている。

それに夜の顔と昼の顔を見れば、その方がどういう背景の下で酒を飲むか、また自分がどういう接客をすればいいか、何を望まれているか、大体は掴める。

何よりも『色を抜く』という作業も比較的簡単に済む。
で、もっと汚い言い方をすれば『男の義理』につけ込む事も出来るのだ。

話が逸れたが、店口座から自分の口座にするお客様は別として、自分が新規に獲得するお客様には、最終的に自分が腹をくくって、騙されてもいいと思う人にしか請求書で飲まさない姿勢が必要であると言える。

まあここまでやればまず安心なのではないかと思うが、このご時世解りませんしね。


で、マトモに払って戴ける方の未収でも、未収は未収なのだから、これを抱えて他所に移るのはちょっと大変だ。

お客様のプライバシーの保護の意味もあって、時間軸を少々ずらして書いている日記ではあるが(個性的なお客様ばかりだとネタには困りませんがこういう所は苦労する)、今回はリアルタイムで移店の方法を書いて行こうと思う。

長くなったので、続きは次回に。




ヤプースさんも頑張っておられるので、負荷のかからないようにちみちみ書かせて戴こうかなと、新・写真日記『オミズの食日記』始めました。たまにしか更新しませんが、よろしくぅ。

同じく、写真日記更新しました。



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