ケイケイの映画日記
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2018年02月27日(火) 「The Beguiled/ビガイルド  欲望のめざめ」

1971年制作の、ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」のリメイク。私はテレビで観たのですが、淫蕩な雰囲気のタイトルとは違い、サイコスリラー的な要素の強い作品だったと記憶しています。私は好きな作品なので、このリメイク作も楽しみにしていました。巷の評判は、シーゲル版の男性目線に対し、こちらソフィア・コッポラ版は、女性目線と書いてありましたが、どこが?(笑)。私は面白くありませんでした。

南北戦争の最中のバージニア州。マーサ(ニコール・キッドマン)を園長とする寄宿女子学園の生徒エイミー(ウーナ・ローレンス)が、きのこ狩りをしていた時、負傷した男性を見つけます。男性は敵方のマクバニー伍長(コリン・ファレル)。マクバニーに懇願され、エイミーは園に彼を連れて帰ります。園には他に、教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)やアリシア(エル・ファニング)ら五人の思春期の生徒がいました。マーサは人道的見地から、マクバニーを看護する事に決めますが、その事で秩序が守られていた女性たちに、波紋が広がります。

女性目線と言うか、これ小娘目線なのですね。最初の方で、眠っているマクバニーの体を拭く、マーサの緊張した様子が描かれます。でもこれって、50の女の様子かな?私には体が火照ると言うより、恐れと興味が引き起こした緊張に感じました。

老若の女たちがマクバニーに興味を示し、我先に彼に近ずこうとし、マクバニーの方でも、傷が癒えても居座ろうと、みんなに誰彼なしに媚をふる。この様子が、何とも幼稚なんだなぁ。初めてマクバニーをディナーに招待する時、どこにこんな服隠していたの?と言うくらい、まぁみんな着飾ることよ。学園の閉塞性とマクバニーの見てもらいたい女心からです。食卓で、女たちのマウンティングが始まりますが、あんなに欲望剥き出しにするか?それって下品なだけで、女性目線と言われても、違う気が。

私が元作で興味深かったのは、少女たちはともかく、マーサ役のジェラルディン・ペイジや、エドウィナ役のエリザベス・ハートマンが、とても地味な女性で、禁欲と言う言葉がぴったりなのに、妙齢の男が出現した途端、色めきたってしまった事でした。特にペイジは、もう性的な女は卒業した年齢に思えたので、私が若い時分なので、嫌らしさも感じました。今ならわかるのですが。今回のこんな綺麗な女性たちじゃ、何時でも男掴まえられるよなぁ。

不穏な空気の黒人メイド、兄と近親相姦の過去があるマーサの設定など、重要だと思うのですが、今回きれいさっぱり割愛。物足りません。一番分かり易く共感したのは、ビッチな小悪魔アリシアでした。

でも一番私的にダメだったのは、私がファレルに興味がなく、超素敵だった若かりし頃のイーストウッドを覚えている事。今回のマクバニーなんかの比じゃないほど、イーストウッドのマクバニーは、フェロモン振りまいていたぞ(笑)。そりゃ寝た子も起きるわな。

展開も終始遅くのろのろ、最後に向かう驚愕の展開、のはずも、繋がりが悪く盛り上がりません。ちっとも刺激がない。見所は可憐な衣装と、女性好みのお城風の学園のインテリアくらいでした。

ガーリーの巨匠、ソフィア・コッポラらしいと言えば、そうなのでしょうね。彼女のファンなら、もっと見所を見つけられると思います。


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