ケイケイの映画日記
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2017年01月10日(火) 「ドント・ブリーズ」




一番好きなカテゴリー、小品佳作でスタートした今年。なら次は、二番目に好きなサスペンスだ!と言う事で、この作品をチョイスしました。見逃しも覚悟していましたが、大阪市内では一館しか上映していないのに、意外に健闘していて、無事観る事が出来ました。オーソドックスな展開ながら、設定に小技が効いていて、結構怖くて、ワクワクしながら観ました。そう、ドキドキではなく、ワクワクね(笑)。監督はフェデ・アルバデス。

ロッキー(ジェーン・レヴィ)、アレックス(ディラン・ミネット)、マニー(ダニエル・ソヴァット)の三人は、窃盗を繰り返す三人組。その三人に、盲目のイラク戦争の退役軍人の老人(スティーヴン・ラング)が隠し持っている大金を、強奪する話が持ちかけられます。虐待する母親から、幼い妹を救い出したいロッキーは、嫌がるアレックスを説得。夜中に侵入した三人ですが、そこから悪夢のような惨劇が始まります。

この手のお話は、昔からありますが、逃げ惑うのが盲人である場合が多いと思います。逆転しているのが、今作のミソ。そして老人が退役軍人の設定が効いている。観る前は、もっと人間離れしたキャラなのかと思っていましたが、超人的ではありますが、まぁ人間の範疇(笑)。身体能力は凄いとは思いますが、イラクで戦っていたと言うのは、説得力ありでした。

盲目の老人相手だから、簡単に強奪出来ると思っていた三人ですが、待ち受けていたのは、戦慄の世界。セオリーを踏襲したストーリー展開で、まずの犠牲者は、ある意味捨てキャラ。泣かせる嘘を残すのですが、老人にすぐ見破られます。

以降狂気じみた殺戮場面が延々繰り広げられます。見覚えのあるような場面ばかりですが、一つ一つの見せ場を丁寧に作ってあるので、見応えがあります。特に老人から全ての灯を消され真っ暗な中、迷路のような室内を、犯人たちが見えるはずないのに、カッと目を見広げながら歩く様子は、自分も一緒に体感しているようで、気に入りました。

金に執着しなきゃ、傷は浅かったろうにと思うものの、執着する気持ちもわかるし、老人もトチ狂っている人ですが、それも一人娘が交通事故で亡くなったからだと思うので、同情も出来る。二方一片の憐憫を感じさせる脚本が良かったです。

ある遺体を抱いて、「おぉ、ベイビー・・・」と抱きしめ涙ぐむ老人に、はっ?何故?あんた、この人が憎いんでしょ?と謎でしたが、ベイビーは文字通りの意味だったと解明した時、上手い!脚本に座布団五枚!と、叫びそうに(笑)。他にも「クジョー」や「地獄の貴婦人」を想起させるプロットもあり、90分足らずの作品ですが、最後の最後まで先が読めず、楽しませてくれます。

ラストは、まぁ痛み分けかな?続編を作りたそうな最後です。逆切れした犯人が、老人を罵る場面があって、なんだよ、悪いのはお前だろうが!と思った人は、私を含め多数のはず。私のように爺さんに肩入れした人は、きっと次も観に行くと思います(笑)。


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