ケイケイの映画日記
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2014年12月13日(土) 「スガラムルディの魔女」




この画像を観た瞬間、絶対観ようと思いました(変か?)。CDで言うところの、ジャケ買いっすね。一度は観たかったアレックス・デ・ラ・イグレシア監督作品で、ジェットコースタームービー的で、とっても楽しめました。

妻と離婚したばかりで子連れのホセ(ウーゴ・シルバ)と妻が怖いアントニオ(マリオ・ガサズ)が強盗を働き、それに巻き込まれたのが恐妻家のタクシー運転手マヌエル(ジェイミー・オドルネス)。逃亡中迷い込んだのが、魔女の村スカラムルディだったので、さぁ大変!

冒頭コスプレで堂々と強盗する様子に、まずノリノリ。カーアクションや銃撃戦もスピーディーで、小ネタを挟むユーモアもとっても良い感じ。このままアクションで押し切っても面白いよなぁと思っていると、次第に画面は禍々しくホラー映画に移っていきます。

しかしこの禍々しさが(笑)。爆笑に次ぐ爆笑。男たちの語る女性像は、とにかく悪意に満ちている。そして怖い(笑)。と言いながら、セクシー美女、いや本当の美魔女のエバ(カロリーナ・バング 画像です)のエロエロショットにはメロメロになるバカさ加減と、魔女が男たちをいたぶる様子が、もう楽しくって。男の威厳や沽券何のその、この様子を女性監督が描くと悪意に満ちるはずが、監督も男性なので、わかってくれよ〜!的愛嬌があります。

最初は婆さん、中年(カルメン・マウラ)・娘の三世代魔女だけだったけど、段々増えて画面いっぱいの魔女の饗宴は、一種壮観。巨大な魔女の象徴的クリーチャーも出てきて、結構なバトル。ハチャメチャながらパンチが効いてて楽しめます。

でもこのクリーチャーね、もっと美形に出来んもんか?顔はくちゃくちゃ、おっぱいは垂れて三段腹。あれが魔女=女の象徴とは、ちょっと承服しかねるビジュアルです。それとホセの嫁も気がきつく、自分の感情に任せて仕事するし(ナースです)、人の話は聞かないわ、勝手な行動するわ、それでいて母性だけは暑苦しいくらいある。離婚の理由は嫁に充分同情出来るもんなのに、あの嫁じゃあなぁ〜と観客に感じさせるのは、監督の思惑?怖い怖いと言いながら、監督の描く女像も、女性監督の描く男像同様に、結構悪意があるような。それを笑いでくるんでるけど、私は騙されないぞ(笑)。

まぁ深読みするのは野暮な作品かな?私が一番気に入ったシーンは、エバが仲間も一緒に逃げたいと言うホセに、「私だけじゃダメなの?もう愛してないの?別れたいのね!」と烈火の如く怒るシーン。いやいやまだ付き合ってもいません(笑)。男性に対して、誰よりも何よりも私を一番愛して!と言う若い女性の感覚、万国共通なんだと感慨深いもんがありました(笑)。これは女性の特性として、私は愛しい想いがあるんですが、男性にとっては迷惑なのかしら?

その点カルメン・マウラ魔女は、年食って男に幻想なんかないから、超手強い。彼女もう70歳なんですね。スペインの大女優が嬉々として壁を走り回ったり、ワイヤーで吊るされてバトったり、めちゃめちゃ楽しんでる様子に、観ているこちらも元気モリモリ。婆さんはこうでなくっちゃ(笑)。

女は怖い意地悪自分勝手だ!をそのまま描くと、女性の総スカンを喰らうので、魔女ではどうでしょうか〜?と言う、監督の知能犯的作品。ちなみにセクシー魔女エバ役のカロリーヌは監督の奥さんなんだって。彼女に託した役柄に監督の思いがあるみたいだから、許すとしよう。男って愛されたいのね。なら、あなたを一番愛していると言ってあげましょう(笑)。


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