ケイケイの映画日記
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2013年11月28日(木) 「マラヴィータ」




普通の出来でしたが、面白かったです。筋や内容を掘り下げるのではなく、かつての自分の役柄をセルフパロディしているような、役者たちのキャラや演技を楽しむ作品。そう言った意味では文句ありません。監督はリュック・ベッソン。

かつてマフィアのボスだったフレッド(ロバート・デ・ニーロ)。FBIの承認保護プログラムにより、妻マギー(ミシェル・ファイファー)、娘ベル(ダイアナ・アグロン)、息子ウォレン(ジョン・ディレオ)を伴い、世界各地を転々としています。彼らの警護をするFBIのスタンフォード(トミー・リー・ジョーンズ)は、地域に溶け込めと言いますが、彼らには至難の業のようで・・・。

癪に触るとすぐキレるのはフレッドだけではなく、マギーもベルも一緒。気に入らない奴は、ぼっこぼこです。ただ一人冷静沈着なウォレンは、暴力には訴えませんが、学校をくまなくリサーチ。すぐに影で牛耳るようになります。この暴力や裏稼業でのスキルの高さには、血は争えないと共に、環境も影響しているのも含まれているのでしょう。面白おかしく、上手く描いています。

どうという事のない中に、文化の違いを描くのも上手い。料理でそれが出ていました。フランス料理に、大雑把な料理やジャンクフードしか浮かばないアメリカ人が、一家言あるなんて〜と思っていたら、彼らはイタリア系。そう、マフィアつったら、イタリア系(笑)。護衛のFBIさん二人もイタリア系らしく、内緒でマギーの手料理を頬張る姿が微笑ましい。垣根を超えて親しい友人みたい。

バッタバッタ人が死んで行きますが、全然残忍じゃありません。ブラックユーモアを狙っているのか?巻添え食って、あの人この人死にますが、あれはどうかなぁ。私は告解の後の神父の様子と、上に書いた護衛のFBIの扱いには、ちょっと異議あり。前者は捻りが欲しいし、後者は工夫が欲しいところ。コメディタッチが、一気に冷めましたから。

余裕綽々で演じるデ・ニーロとファイファーが素敵。コミカルな演技が抜群に上手い。デ・ニーロはボサボサ頭で髭も白髪が混じっているのに、若々しくて現役の男性感と貫禄が充満。だから今の逃亡生活が、余計に哀愁に満ちて感じます。ファイファーも、初登場シーンこそ目はくぼみ、口元には皺がよりで、老けたなぁと哀しかったですが、徐々に本来のゴージャスさを年齢相応に感じさせて、素敵でした。そういえば彼女も「スカーフェイス」で、パチーノの愛人でしたね。

アグロンは17歳の役柄にしては、少々色っぽ過ぎますが、潤んだ目も美しく、暴力場面の彼女と、きちんと演じ分けできています。ディレオは、私は懐かしの「青い体験」のアレッサンドロ・モモに似ていると思うんだけど。似てない?だからイタリア系を上手く演じていたと言うことでOK?はしゃぐフレッド一家を引き締めるのは、トミー・リー。相変わらずユーモアの欠片もなく、苦虫噛み潰したような顔が、リアルFBIを感じさせて安定しています。


マフィアはファミリーと称されますが、仲違いすればこんなもん。それに比べりゃ、「本物のファミリー」の底力はどんなもんだい!と言う感じですかね?
どんなに大変でも、このパパなら付いて行きたくなりますって。そんな素敵な、デ・ニーロを楽しむ作品。


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