ケイケイの映画日記
目次過去未来


2009年01月18日(日) 「007 慰めの報酬」




昨日夫と先行上映で観てきました。う〜んと・・・。出来が悪いとは思いませんが、あまり楽しめませんでした。そこそこの出来のアクション映画であって、果たして「007」の冠をつける必要があるのか?と、ずーと感じながらの鑑賞でした。

前作「カジノ・ロワイヤル」から数時間後、愛するベスパーの死の復讐を誓い、真相を探るべく、ボンド(ダニエル・クレイグ)はハイチに飛びます。そこで訳ありの美女カミーユ(オリガ・キュレリンコ)と出会い、彼女を通じて、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)の存在を知ります。ドミニクは環境団体を装いながら、その実ボリビアの天然資源を独占し、世界支配を目論んでいました。

地味です。ゴージャスさが全然足りん!ユーモアも足りん!知性も足りん!セクシーさも足りん!荒唐無稽な面白さがなく、リアル一辺倒!

ボンドに望むことは、人それぞれだと思います。私が望んでいるのは↑に書いた足りない部分で、現実ではあり得ない、だけどあったら面白いだろうなという武器やプロット、ボンドのゴージャスなライフスタイルを見せてもらうことです。それで浮世の憂さ晴らしがしたいわけですよ。別にボンドで「ジェイソン・ボーンシリーズ」を観たいとは思いません。

監督のマーク・フォースターは、アクションは初めて撮ったはずで、そういう意味では及第点はあげられますが、最初のカーアクションは小手調べとしてはまずまずでしたが、その後のマヤカシ系の身体能力誇示アクションは、前作の焼き直しです。前作ではボンドの年齢が若返った象徴のように感じ、好感触でしたが、二度続くと新鮮味なし。アクション場面も爆破や素手、銃撃戦など、それなりに上手く撮っていますが、褒めるほどのもんでもなかったです。歌劇「トスカ」上演中に事が起こるのですが、もっと「トスカ」を前面に出しながらの工夫は出来なかったんでしょうか?舞台の様子をきちんと描くことで、ぐーんと豪華さは増したはず。

私がイメージするボンドとは、ワイルドにして知的、ユーモアがありエレガント、そしてセクシーです。一言で言うと「洗練された強い大人の男性」です。前作でのボンドの造形では、まだビギニングということもあって、新鮮味に軍配を上げましたが、今回は違和感バリバリ。クレイグのブルーカラー的荒削りボンドは、それはそれで魅力も値打も認めます。でも申し訳ないけど、私の趣味じゃないわ。

敵役のドミニクの造形も、これまで魅力的だったお歴々のような愛嬌がなく、ひたすら非情さを感じさせながら必要悪のようにも描き、よくわかりません。演じるアマルリックはとても良い役者ですが、このキャラでは、彼の演技力を持ってもどうしようもなし。脚本はポール・ハギスなので大いに期待しましたが、社会派娯楽作の側面を出そうとして、中途半端に終わったと感じました。この辺も私が「007」に望んでいることと、大幅に隔たりがあります。

ボンドガールもなぁ。キュレリンコも個人的には魅力が薄かったです。ずっと表情が硬く、柔らかさがないです。あの背中は、過去の火事での火傷を表しているんでしょうか?そんなリアリティ、「007」には不要です(あぁ、どうしよう、段々ボルテージが上がる・・・)。過去の美女軍団とは言いませんが、匂い立つヨーロッパの香りに、可憐な幼さも見え隠れさせた前作のエヴァ・グリーンよりも、数段劣ると思います。もう一人のボンドガール、「ツンデレ系」ミス・フィールズ役のジェマ・アーダートンの方が、数段チャーミングでした。それとM(ジュディ・デンチ)がお化粧落とすシーンがありましたが、これも不要。それってMの威厳が薄まるし、彼女のことお母さん的役割にしたいのでしょうか?確かに部下は「マム」とは呼んでますが、ある種尊敬を意味する言葉のハズです。年配の女とみりゃ、全てお母さん役にするなっての。

というわけで、書く前より書いているうちに、不満が増大してしまいました。過去のボンドに思い入れがない人には、受け入れられる作品だと思います。でも私には無理。次回は荒唐無稽な大いなるマンネリボンドが復活していることを、切に望みます。


ケイケイ |MAILHomePage