ケイケイの映画日記
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2005年12月07日(水) 「Mr.&Mrs. スミス」

誰だ、中身スカスカのおバカ映画なんて言ったのは!信じちゃダメよ、すんごく面白いんですから。華やかでユーモアがあってチャーミングで、これぞハリウッドスター映画というゴージャスさです。荒唐無稽なストーリーの中「真実の瞬間」もチラホラ、さすがは「ボーン」シリーズのダグ・リーマン、アクションシーンはいうに及ばず、倦怠期近い夫婦の様子も楽しく描いていました。予告編を観た時は、「ローズ家の戦争」(ダニー・デビートが監督だよ〜)っぽい話なのかと思っていましたが、あの手のシニカルさはなく、意外と甘やかで良い意味でライトな仕上がりでした。

旅先で運命的な出会いをして結婚したジョン(ブラッド・ピット)とジェーン(アンジェリーナ・ジョリー)。結婚6年目の二人には、しかしお互い知られてはいけない秘密がありました。二人とも別々の組織に属する殺し屋だったのです。ある日知らずに同じターゲットを狙った二人は鉢合わせしてしまい、任務に失敗します。組織から各々48時間以内に相手を殺せとの指令を受け、二人の戦いが始まります。

どのシーンを切り取っても、ブラピとアンジーが素敵すぎ。これぞスターという感じでオーラでまくりです。ブラピはデビュー時、その容姿からレッドフォードの再来のように言われていましたが、どうもそれをなぞった役柄では魅力を感じず、ちょっと捻った役やこの手のコミカルで気のいいあんちゃんの役の方に魅力を感じます。40歳を越えたそうですがまだまだ若々しく、ちょっと女房の尻に敷かれている情けない様子も可愛くてグッド。アクションシーンでもキレの良さをみせてくれます。

ブラピがジュリア・ロバーツと共演した「メキシカン」は、全く食指が動かなかった私ですが、この作品は相手がアンジーと聞き絶対観ようと思いました。ジュリアよりアンジーとのツーショットの方が絵になると思いません?(画像参照)。どのシーンでもセクシーさ満点で、同性の私から見ても惚れ惚れするようなスタイルの良さがどの衣装でも強調されています。ただセクシーなだけではなく、彼女の場合、知性と勝ち気さが感じられるのが、同性にも支持が多いところではないでしょうか?

冒頭カウンセリングの場面でブラピが「結婚して5年」というと、アンジーが「6年よ」と答え、またブラピが「そう5〜6年」と答えます。5年も6年も変わりゃせんの夫に対し、一年違うと大違いの妻。これぞ夫と妻の間に横たわる深ーい川ではございませんか。お互いそのつもりはなかったのに、相手の言い分も聞かず決め付けたりするのは思い当たる方も多いはず。まさか危機一髪の状態に追い込まれたり殺し合いはないですが、夫婦ならよくある話で、こちらの言い分を聞いてくれなきゃ、もう売り言葉に買い言葉、段々エスカレートする様子は若かりし頃の我が家の夫婦げんかのようで、感情移入しまくりです。それをスケールでかくパワーアップして見せてくれるんですから、面白くないわけありません。

自分に愛情がなかったのかと未練がましく問うブラピに、「隠れ蓑にちょうど良かっただけ。」と意地を張って言ってしまった後の、アンジーの後悔の様子がこれまたわかるのですねー。心の底の夫への愛を自覚しながら、こんな男が好きな自分なんて許せんわけですよ。可愛くないけどわかるなぁ。ここで本当のことを言えば可愛いのに言えませんよね。そうよ、妻の気も知らない亭主が悪いのだ。そんな気のキツい彼女が言う、「あなたと一緒ならばどこでもいい」の言葉は、思わずホロッときました。そういえば私も長いことそんなこと言ってないなぁ。

二人が素手で戦う場面、爆破シーン、カーチェイス、それぞれ小技が効いて面白く見られます。特にラストの銃撃戦は華麗で、振り付けの上手さを感じさせて、うっとりしながら観てしまいました。ラブコメとアクションが合体した作品で、これでもかの見せ場がてんこ盛りの割にはくどくなく、尚且つ主役二人の際立った魅力が感じられるのは、リーマン監督の力量ではないかと思います。「ボーン」シリーズも、萌えそうになるほどマット・ディモンがカッコ良かったし、俳優の持つ魅力を引き立たせるのが上手い監督だと思いました。その内俳優から直々に、ご指名がくるかも。

ブラピの友人の殺し屋にヴィンス・ボーン。ブラピの元妻ジェニファー・アニストンの今彼だそうです。どちら様も「別れたら次の人」のようで。前向きで大変よろしいかと思います。ビリー・ボブでもダメだったアンジーなのに、ブラピで大丈夫かなぁと思っていましたが、この作品を観て、案外長続きするんじゃないかと感じるほど、二人はしっくり見えました。年末年始らしい華やかな作品。花丸のお薦めです。


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