ケイケイの映画日記
目次過去未来


2005年05月27日(金) 「バタフライ・エフェクト」

ネットで面白いと大評判のこの作品、上映前から観ようと思っていましたが、時間の都合が中々つかず、一度は断念しようと思いましたが、あまりの反響に無理やり時間を作って、昨日心斎橋のパラダイス・スクエアまで行って来ました。とても面白かったです。一生の一本になるという感じの作品ではありませんが、「記憶」「時間を遡る」という使い古されたモチーフが新鮮で、ちょっぴり切なくもなる作品でした。

大学生エヴァン(アシュトン・カッチャーは、幼児期から失神してその時の記憶をなくすということを繰り返していました。精神科医の勧めにより、日記をつけるようになるエヴァン。13歳の時、ある事件を友人たちと引き起こしたエヴァンは、初恋の相手ケイリー(エイミー・スマート)と離れ、母と二人で引っ越します。以来記憶をなくすこともなくなったエヴァンですが、ある時日記を読み返していて、突然過去の記憶が蘇ります。自分の失った記憶には何があったのか?当時の友人たちを訪ね歩いたエヴァンは、幼なじみたちの辛い境遇を知ります。大好きだったケイリーとて同じ。エヴァンはケイリーの境遇を救いたいがため、過去に遡り出来事を変えようとします。

一言で言えばタイムマシンを使わず過去に戻る、暗めの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。時間の遡り方は、私の大好きな「ある日どこかで」を思い出しました。”バタフライ・エフェクト”とは、蝶のはばたきが地球の裏側では竜巻を引き起こすという、カオス理論を象徴する言葉です。エヴァンが良かれと思って過去の出来事を「修正」したつもりが、事態は思わぬ方向へ進み、回りの人々の運命を劇的に変化させてしまいます。

観る前はちょっと感動系のお話かと思っていたのですが、そうではありません。エヴァンは自分が修正して作った過去により、現在の境遇が悪ければ何度でも過去に遡ろうとします。彼が良かれと思ってしたことが、いつも誰かが不幸になっているのです。最初はケイリーを救うためだったはずが、ケイリーが幸せである時も、自分の現在が最悪であればやはり過去へ戻ってしまう、その欲深さが共感できます。

ケイリーだけでなく、友人や母も救いたい、もちろん自分も。よく「私さえ我慢すれば」的な自己犠牲で、全てを丸く治めようとする人がいますが、私はとてもそんなことは出来ません。回りも幸せで自分も幸せである道があるはずだ、と必死になるエヴァンの気持ちは、崇高さはないかも知れませんが、私にはよく理解出来ました。

そんなエヴァンが最後に出した結論はとてもほろ苦く、犠牲ではなくケイリーを思う愛が込められていて切ないです。くるくる変わる彼をめぐる人生を猛スピードで観ながら、人の幸せとはいったい何だろうと人生についても考えます。この思いを抱いて欲しい、というのが監督の狙いだったのでは?と感じています。

ちなみにディレクターズ・カット版はエンディングが違うそうです。猛烈に観たい!DVDが出たら、絶対借ります。アシュトン・カッチャーは2003年度ピープル誌が選ぶ「世界で最も美しい男50人」に選ばれたそうですが、ひげ面がほどんどなので、あまり美しさはわかりません。ラストに見せるひげ無しのお顔は、さすがに美しかったです。でも好演だったと思います。うーんと年上のデミ・ムーアの現在の恋人です。いささかショックだったのはエリック・ストルツ。子供を虐待する父親役ですが、特に見せ場もなくもっと無名の人がやってもいいような役で、ちょっと寂しかったかなぁ。
今の彼のポジションも寂しいのでしょうね。エヴァンのお父さん役の方が後でジーンと出来るので、こっちをやって欲しかったです。

大阪は今日まで。他の地方ではまだ公開中のところもあるでしょうし、ビデオやDVDでも充分楽しめる作品だと思います。ストーリーの面白さは抜群、深みも引きずらない程度に手堅くある、良質の娯楽作だと思います。


ケイケイ |MAILHomePage