日々記
もくじかこみらい


2004年06月14日(月) クラムボンの正体。*小話*

近鉄とオリックスが合併したりって。…ほんとう?
私は結構一リーグ制はいいかなーと思ったりするのですけど(何も知識はなしで)
ああでもファンの痛い気持ちはわかります。ヤクルトなくなったら泣きますし。

ミスチルのツアーが始まりましたね。どきどき。
私は名古屋と、追加公演の横浜に参加する予定です。楽しみ。
前知識を入れたくないので、ミスチルサイトを巡りはしばらく我慢。

最近ゼミ関連の文献を探索をしていると、絶対日常生活では使わない!と思いながら漢検のために勉強してた漢字によく出会います。陶冶とか。
…だからなに、なのですが、なんでも無駄なことなんか一つもないんだなと。
スピッツの歌詞から拝借するなら、余計なことはしすぎるほどいいよ、ってことなんだなと思います。我ながら単純。


久しぶりに小話でもーと思ったのですが。
意味不明な物体ができあがっただけでした。
もったいないので、したーのほうに置いておきますので、暇で死にそうなときにだけ覗いてみてくださいな。











 クラムボンの正体。

「タバコうざいやめて」

 隣によっこいしょと腰を下ろした男性は、30分ほどしてそんなことを言われた。
 目を丸くして、吸い込んだ煙を吐き出してから、へえ、と口の端をつり上げた。
 
「ついに、お前もそんな口が聞けるようになったか」

 かぷかぷと煙を吐きながら、えらそうに笑った。
 このクラムボンめ、と下向いて吐き捨てた。どうやら耳まで届かなかったらしい。
 構わずに、いやーお前がそんなに成長してくれて俺は嬉しい。と、またお祝いを兼ねた一服、かぷかぷと。
 白いふきだしを作って、その中に台詞を書いて、みたいな。一人漫画をしていた。

 ワイシャツの襟口が汚れていて、あちこちに皺寄ってて、ああまたこの人家に帰ってないんだなって。
 またあんなきれいな奥さん、家に一人にしてるんだなって。
 どうしようもないクラムボンだなって。
 奥さんの手伝いになればいいなと皺を伸ばす気持ちで、シャツを引っ張った。

「私のこと殴ってもいいから、やめて」

 偶然耳にしてしまった、そんな通りすがりの人たちの空気が凍りつく。
 閉店後のパチンコ店のシャッターの前で、セーラー服を来た女の子と会社返りのサラリーマンが並んで腰を下ろしていて。
 それだけでも目立つのに、そこへ飛んできた台詞の威力は十分だった。
 威力、知ってて使った。

「いや、なんていうかお前ってさ…」

 一端、そこで切る。困ったようにタバコを指と指の間でとんとんと叩く。
 ぱらぱらと灰が道路に散るのを見る。
 その間、ビルとビルの隙間から見える夜空の星を数えながら、またふきだしを作っていた。

「アンパンマン志望?」
「…なにそれ」
「やけに自己犠牲精神旺盛だなと思ってさ。僕の顔を食べてもいいから、つったろ?」
「…食べていいとは言ってない」
「おんなじようなもんだろ。さて、どうしてやるかな」

 うーむ、と上を向いたから、顎から無精ひげ生えているのが見えた。
 こんな、だめ親父でも家に帰ってからは、タバコのタの字も匂わせないんだよ?
 信じられないけれど、奥さんのこと思い切り大事にして、愛してるって知ってる。

「私のこと殺してもいいから、やめて」

 てめえ、グレードアップさせやがったな。
 にやりと口の端をつり上げた隙に、手を広げて、タバコの火を包み込むようにした。
 ぎゅ、と握り締めて、思い切り大事にしてあげる。愛してあげる。
 手のひらがこげる感覚はあんまりなくて、すぐに手、無理やり開かされたから、熱いと思う時間もなかった。
 焦って硬直している横顔。こんな顔、初めてさせたんじゃないかなって思う。
 
「へえへえ、わかりましたよ」

 投げやりな言い方で、禁煙宣言をして。
 手のひらから道路に、零れ落ちた吸殻を拾い始めた。
 さーってビルの間を風が抜けて灰を散らかして、クラムボンが消えた。

(私は)
 
 大事にしなくても、愛さなくてもいいから。
 殴っても殺しても何してもいいから。
 この皺の寄った背中がほしいなと思う。

(でも)

 長生きしてほしいなって、奥さんのためにも。
 そんなふうにも思うのも本当で。
 消えてしまったクラムボンの後を追いかけて、今夜も狭い空を仰ぐだけ。



 おしまい。





クラムボンは、宮沢賢治『やまなし』より。

がーっと勢いで書いたら、案の定、意味がわかりません。
小話に載せるときまでにはもう少し修正します。たぶん。
暴力的な話が書きたかったんですけど。私が書くとせいぜいこのくらいですね。
タバコは、私はノドがあんまり強くないので苦手です。
一人で吸って楽しんでる分にはとくになんの感想も抱かないです。
好きな人にはやめて、と言ってしまうかもしれないなと思って書きました、はい。


金田・藍 |MAILHomePage

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