日々記
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| 2003年06月26日(木) |
『しゃべれどもしゃべれども』 |
みんなどこかに傷を持っていて、それが邪魔をして、伝えたいことがあるのにうまく話せない。 そんなもどかしい欠点を抱えた人々が、不思議な偶然から、落語家・三つ葉に「落語」を習いにやってくるようになった。 じょじょに言葉と自分を手に入れていく過程が、三つ葉の語りとともにするすると頭に入ってきます。 読んでいてすごく気持ちがいいです。普通の地の文が落語に聞こえてきてしまうから不思議です。 佐藤多佳子さんの書く物語は、ちょっと出てくる人たちが恐ろしい個性を持っているのですが、この話もわんさか出てきました。 例えば。 見た目はカッコイイ、テニスインストラクターの良くんは、どもりがきつくて、とてもカッコ悪かったり(素材が素材なだけにもったいない。でも私は彼好きだ) そういう完璧じゃないのに魅力的な人を描くのがすごくうまいです。 村林くんと、そのクラスメート像の鮮やかさと言ったらもう。 主人公の落語家の三つ葉さんにしたって、挫折したり、失恋したりと散々情けなかったりするんですけど。 すごく素敵です。味わいのある人柄、というのかな。
・・・なんかうまくいえないので読んでみてほしいです。 それで、どうしてこんなにも泣けるのか、私に教えてほしいです。 長々としゃべればしゃべるほど、色々なものが減っていってるなぁと思いました(墓穴) 沈黙の大切さを教えてくれた一冊でした。
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