♀つきなみ♀日記
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2005年02月19日(土) カンバック!長谷川平蔵様//犯罪者更正制度と生活保護など

って事で、1790年(寛政2年)の2月19日と言えば、池波正太郎さんの小説で有名な、火付盗賊改、鬼平こと長谷川平蔵さんが提案していた人足寄せ場の設置が決定した日なんだよね。

ご存知の方も多いと思うけど、その当時のシステムだと、人別帳に記載が無い人は無宿人として扱われ、それだけで犯罪者なんだよね。って実際に犯罪を起こす人が多くて、非人溜り(差別的用語の非人とは異なります)に収容していたんだけど、管理がなっていなくて、死んじゃうか、脱走するか、放免されても、また犯罪を犯すってのが殆どで、問題視されていた。

鬼平さんは、史実的にも若い頃グレていて、市井の状況にもほんとに詳しかったから、これじゃいかんだろうって事で、本格的な授産施設として、この人足寄せ場を作ったんだよね。

この施設がユニークなのは、それまでの経験を生かすシステムなんだよね。つまり、無宿人になる前に大工の経験のある人は、大工仕事をする。そして技能の足らない部分は、本職の大工の棟梁が指導までしてくれる。しかも経験は無くても、大工に興味のある人は、見習いから始める制度もあって技能を修得できるんだよね。

習得できる技能は、建築関係の左官や建具職人・経地師はもとより、紙漉きや飾り職、髪結い・縫い子、一時はその当時の流行職業だった、彫り師や摺り師まで養成していた。そして、指導に来ている本職の親方のもとに、そのまま弟子入りできる制度もあった。

そして、不器用な人には、米搗き、油絞り、炭団作り、縄ないなどの肉体系労働なんだけど、長くやれば熟練工になれる可能性の高い仕事を優先して行わせて、仕事が単調になる事を避け、また、一箇所に長期間押し込めてばかりいるとストレスが溜まるから、それを解消するために、定期的に江戸市中の土木工事や川浚いなどに、出かけていたんだよね。ってこれは、現金収入を得るためでもあるんだけど。

そして、開設当初で一日14文の煙草銭が与えられて、労賃は別に積み立てて、改悛の情が認められると、その一部(約三分の一)が更正資金として与えられて放免になる。そして、残りの金額は正業について半年経過すればまた三分の一、一年半経過して残りの全額が与えられるんだけど、上手く正業に付けなかった場合は、また人足寄せ場に戻って、なんらかの技能を修得することも可能だったんだよね。って、目的を「更正」に絞った、画期的なシステムだ。

もちろん、3食と風呂は無料で付いていて、14文ってどのくらいの貨幣価値かと言えば、蕎麦が8文、刻み煙草一日分も8文ぐらいなので、大雑把に言えば500円くらいの小遣いって感じかな。っって私と大して変わんない(ToT)

つまり、社会的な自由は拘束されるけど、その期間に手に職をつけるか、労働する習慣を付けることによって、放免後の生活の道を開く。金銭的にも、すぐには困らない程度の余裕は持たせるけど、全額持たせると、すぐ使っちゃうといけないので、ちゃんと暮らしていると、ある程度の余分なお金まで、先でもらえるんだよね。

この辺のきめ細かさが、さすが鬼平さんって感じで、たまに江戸の街にぶらりと出てきて、偉そうに判ったつもりになって、サンバを踊ってる暴れん坊将軍とはぜんぜん違う(もちろんこっちはフィクションです)

ところが、現在の刑務所での刑務作業は、産作業,職業訓練及び自営作業の3つがあるんだけど、作業賞与金の1人1月当たりの平均計算額は,平成14年で、4.215円だ。作業時間は労働基準法に連動していて、受刑者の作業時間は原則として,1日につき8時間,1週間につき40時間と定められているので、週休2日なので、一日に直すと、なんと約180円なんだよね。1年働いて出所したとしても5万円弱にしかならない。

しかも刑務作業の殆どは、犯罪起こすまでの仕事とはまったく縁もゆかりもない作業で、職業訓練制度は58職種はあるんだけど、別に公的な資格取得を目指すわけでもなく、ある意味、経費垂れ流し状態のハローワークの職業訓練と似たり寄ったりで、よっぽど意識の高い一部の人を除いて、実際の就職に役立つ技能習得には程遠いんだよね、残念ながら。

そして、仮出獄の際は、イトーヨーカドー安城店幼児殺人事件で話題になった、更生保護施設を利用できるけど、刑期を満了して釈放された人は、宿泊所の提供や食事・衣類などの給与,就業の援助,社会生活の訓練といった必要な保護を受けるためには、本人が釈放後、1年以内に更生緊急保護を申請しなければ受けられない。

仮に5年の刑期を終えて出所しても、出迎えの人が来ない限り、たった25万円のお金をポケットに、街に放り出される。親戚か友達が面倒をみてくれない限り、住むとこすら確保できるはずはない。

技術が無い。技能も持たない。以前の仕事の知識は古くなり陳腐化して、即戦力になりえない。だから仕事も無い。

出所した人にやる気があっても、制度自体がまったくダメダメなので、特に高年齢者は、結局は生活保護を受けて暮らさざるを得ないんだよね。

で、生活保護費は、日給8000円、時給1000円で汗水垂らして働くより、実質可処分所得は多いと来てるんで、わざわざ、働くこと自体に意味が無い、って根本からおかしくない、制度自体が?まるで、更正することを阻害しているとしか思えなんだよね、まったく。

同じ平蔵でも、竹中さんはぼんぼんで、庶民のことなんてまったく判っていないって言うか、判る気なんてないし、小泉純ちゃんに至っては、小さいときから離れて暮らしている、実の息子の気持ちさえ判ろうとしないような性格のおっさんだし、政治能力以前に、人の暮らしに思いさえ及ばないような、人間的にダメダメな人達が、国政の舵を握っていることが、根本的な問題だと思うんだけどなぁ。

ふぅ。

やっぱ、鬼平さんに蘇ってもらって、政治やってもらうしかないのかなぁ、なんて。

ってことで、じゃ、またね。






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