彩々

2003年04月11日(金) 春の雨

茶店の窓から眺める景色を少し柔らかく感じる。
仕事をサボってる罪悪感はとうの昔に消え去っていて、
ただ、彼女の横顔を思い浮かべる。
二人の間には秘密がある。正確には、私の側に。
察している癖に、「一生口にしない」と彼女は云う。
過去への疑念。オープンにしたほうがいっそ楽な気もするが、
私の狡さが、口火を切りたがる衝動を抑え込む。

彼女は私の最初の女性じゃない。
そして、彼女にとっては私が最初。
その事実は、互いの心のうちに影を落としてるみたい。
私は最初で最後の恋と確信しているけれど、
彼女の心は、私から見れば宙ぶらりんだ。
けれど、
人並みな優しさや気遣い、甘い囁きや慣れたハグがなくたって、
彼女らしい不器用さを、私はこの世の何よりいとしく思える。

ジャスト・ア・フレンドでなくなって2度目の春。
彼女が遠く離れた場所で、春の雨を眺めて、
少しは満ち足りた気持ちで一年前を振り返ってくれるなら、
私は言い表せない幸せに、小躍りするだろう。


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喬(きょう) [MAIL]

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